■ 東京3・北 ■
さて、どうしたものだろう。ここでお土産を買って浜松町から空港に戻って、という経路を考えていたのだが、東京駅を発つまでにまだ二時間位は余裕がある。どうせ空港まで戻るのだからと、モノレールに乗り換える浜松町までの切符をとりあえず買っていた太一であったが、さすがに何処か観光して帰るべきであろうか。浜松町であれば歩けば東京タワーがあるが、どうせならスカイツリーに行ってみたい。しかし調べてみるとここから三十分はかかるようで、平日でもそこそこ混雑するようなのでとても二時間では回れそうにない。スカイツリーの辺りを適当に地図アプリで拡大縮小や上下左右への移動を繰り返していると、近くに浅草寺という文字を見つけて手を止める。そうだ、東京といえば雷門があった。先日ようやく連載を終えた某警察官の漫画でよく出てきていて、一度は行ってみたいと思っていたのだが、東京に来る機会などなかなかなくてすっかり忘れてしまっていた。よし、ここへ行こうかな。でもそうなるとお土産を先に買ってしまったのはまずかった。ちゃんと考えてから行動しないといけないな。そう後悔をしても、後悔は先には立たないものだからやむを得ない。小学生の時はよく通知表に「もっと計画的に行動しましょう」なんて書かれていたけれど、あの時から全く進歩していなかった。それでも、ここまで順調に人生を歩んで来たのだから、人生無計画であってもなんとかなるものである。ひとまず、太一の無計画さの象徴でもあるそのお土産は、コインロッカーにでも預けることにしよう。そう思いキョロキョロと見渡していると、駅構内の案内図を見つけた。しばらく見ていると、土産物屋の並びと東海道新幹線の乗換改札口との間にコインロッカーがあると分かったのでそこへ移動した。財布とスマートフォンとポータブルの音楽プレイヤーだけを小さめのショルダーバッグに移し、お土産の紙袋と肩に抱えていた旅行かばんとをロッカーの中に何とか押し込んで鍵を締める。重たい荷物から解放されて、太一は大きく伸びをした。着替えくらいしか入れていなかったのでそう感じていなかったのだが、やはり二泊分の荷物は意外とそれなりの重量を備えていたらしい。
さて、浅草寺まではどうやって行きますか。スマートフォンを取り出し、検索機能で東京駅から浅草寺までのルートを検索する。いくつか候補が表示されたが、JRで一駅、神田駅まで乗って東京メトロに乗り換えるのが最も分かりやすくて良さそうだ。浜松町までの切符で神田駅まで行けることを確認して、太一は改札を出ずそのまま三番線ホームに上って電車を待つことにした。