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停滞~いらだつイケメン

 このところ周囲で不審な事件が頻発していた。

 協力者に脅迫文が届いたり、ヒロさんの店のガラスが割られたり、どうもGの仕業のようだった。

  

 僕は道場でセイヤと話していた。

 「まいったよ。とうとう感づかれたのかもな」

 「どうしましょう」

 どうしようもない。動きを派手にすれば余計に危険を負うことになる。

 「事を慎重にしなければいけないな」


 今のところ大きな被害は伝わってきていない。

 しかしこのまま穏便にはいかないことは明らかだし、ケイトの作戦通りGの中枢を叩こうとしたところで半端な結果に終わればどんな報復に合うかわからない。


 「いずれにせよ、今できることは何もないさ」

 僕は立ち上がって帰り支度を始めた。

 

 「タケシさん、今日は予定がありますか?」

 「ああ」

 由香里と会うことになっている。

 「佳澄さんが話したいことがありそうだったんで……。時間がある時聞いてあげてもらえないすか?」

 「……」


 僕はちょっと迷い、今度な、と返事をして道場を出た。


              〇


 「このままじゃ皆が危険にさらされるかもしれないよ」

 僕はベッドに寝そべり、ため息をついた。


 横では由香里が服も着ないで煙草をふかしている。

 「じゃあ、乗り込んで先に退治しちゃえばいいじゃない」

 「そう簡単に言うなよ。どれだけ狂った連中かわかってるのか」

 「でもあなた、マサキを倒すってS高に乗り込んだんでしょ?」

 「それは相手がまだそんなに強大なもんだと思ってなかったし……。そもそもあれは考えなしだったよ。冷静に考えれば馬鹿げたことをしたもんだ」

 

 「ふーん」

 由香里はじとっとした目線を僕の方に落とした。

 「ださいねー」

 

 「ださい?」

 言われて僕はむっとした。

 「じゃあがむしゃらにつっこんでいけばいいってのか」

 「うーん、そのほうがかっこいいねー」

 そのとき僕の携帯が点滅した。佳澄からの着信だったが、僕はそれを無視して横に置いた。


 「かっこいいとか悪いとかの問題じゃないだろ。そんな簡単にいくか」

 「知らないし。あたしはそのほうがかっこいいと思うだけだもん」

 僕は今日の由香里の物言いにいらついていた。

 

 「今のタケシ君は全然イケメンじゃないねー」

 「イケメンとか、そんなことは関係ないだろ」

 「イケメンっていうのはオーラの問題だからね。物事を成功させられるだけのポテンシャルの現れなんだよねえ」

 僕はもう取り合わないことにした。


 横に置いた携帯が再び細かく点滅しだした。

 


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