上昇~無知とイケメン
「調略って知ってますか」
その男は神経質そうに眼鏡の位置を直しながら言った。
「簡単に言えば根回しです」
僕とユウイチは今、部室棟の隅に配置されたどこかじとっとした感じがする電脳部に来ている。
部長の彼はケイト。歴史がやたらと好きな男らしく、本棚にはパソコン関係の他に歴史書と歴史小説が並んでいる。
「もちろん現代でもあることです。ただ歴史からひも解けばなお凡人にもわかりやすい」
「根回しってどうすりゃいいんですか」
ユウイチが早口に言う。
「まずその組織がどういうものなのか、説明できますか」
「そりゃあれよ、ここいらで一番でかいワルの集まりで名前はGって言ったなタケシ?」
僕はうなずいた。
「なるほど。ではGの組織の規模、あとトップはどんな人物です?」
「いや、それはわからんなあ……」
「関係者に知り合いはいますか」
「俺のその友達以外はわからん。あんまお近づきになりたい連中じゃないしな」
話はもっぱらユウイチとケイトで進んでいた。口下手な僕よりよっぽど話が早いと思った。
「話しになりません。さっさと情報を集めてください。考えるのはそれからです」
そういうと僕らはその陰気な部室から締め出された。
「なんだよあいつは。なんであんな奴の力を借りようとしたんだ?」
聞かれた僕もなんでそうしたのかと思い始めた。
すまない。電脳部だから、頭が良いだろうと思っただけなのだ……。




