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変革~揺れるイケメン

 「待ったー?」

 僕がコンビニで立ち読みをしていると由香里が横からのぞいてきた。

 相変わらず突然現れる。僕はふう、と呼吸を整えた。


 「さて、カラオケでもいこっか!」

 と言うと彼女はずんずん歩いて行く。どうやら酔っ払っているらしい。僕は急いでそれを追いかけた。


 こんな夜中まで遊んでいたことはほとんどない。

 カラオケに入ってからも僕はどことなそわそわし、由香里はそれにすぐ気がつく。

 「だめだねーもっと堂々としなきゃ」

 そういって勝手に曲を入れ、勝手に歌って盛り上がっている。

 僕は歌うのはあまり得意でないので聞いているばかりだ。しかしそれを彼女は許さず、無理やり一曲歌わされる。


 「うまいじゃん」

 そう言って由香里はまた僕を覗き込む。

 「やっぱ自信ってすぐにはつかないもんねー」

 「いいだろ別に……」

 「それでさ、何があったか教えてよ」


 彼女にはもう言ってしまってもかまわないと思った。妄想のような話ではあるが、彼女の方が僕よりはるかにオカルトな発言をしているし、第一僕は疲れていた。


 「ふーん、それで君はおじいちゃんのお告げでイケメンを目指してるんだ」

 「目指してるわけでもないけど……」

 「でもそうしないと周りの人が犠牲になるんでしょ?じゃあ次はあたしが犯されちゃうかも!」

 笑い事じゃないんだよ、と諌めつつも、真剣になるにはなんだか自分はひどく馬鹿げたことを言ってる感覚にもなった。


 「あなたがそのS高のクソ野郎に復讐しようとしたことで一気にCランクの地位を得たのね」

 「どういう関係があるかわからないけど」

 「あるわ。外見だけのイケメンって沢山いるけど、勇気を持ってるかは別ね。あなたはその勇気を認められたのよ」


 わかったようなわからないようなことを言われ、僕はとりあえずうなずく。お酒のせいか由香里はひどく饒舌だった。


 「ちゃんと聞いてる?自信があるから勇気が生まれるとも限らないの。勇気を出したことであなたは知らぬ間に自信を得たのよ。それがCランクの魅力をあなたにまとわせているの」

 「なるほど」

 「あなたは自分を外から見れないけど、あたしはあなたの荒削りなイケメンの気がもっと強いイメージで見えているわ」


 なんだかストレートに褒められている感じでむず痒かったが、彼女は単に今の僕の状況を頑張って説明してくれているようだった。


 「で、僕はどうすればいいのかな」

 「なにが?」

 「いや、だから僕が今直面している状況に対処するにはどうしたらいいのかってこと」

 彼女は僕の問いを無視するとまた曲を入れた。

 僕は相手をするのに疲れ始めていたが、また異様にうまい彼女の歌声に聞き入った。


 歌い終わると由香里は僕の肩に頭をもたげた。

 「あなたがCランクになったのは勇気なの。もっと上を目指したいなら、もっと自信をつけることよ」

 僕は固まっていた。

 「男として余裕ある姿に人は惹きつけられるの。わかる?」


 「僕は……」

 わからない。

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