変革~裏社会のイケメン
変な汗をかいた。
由香里の追及を受ける中、ちょうどトオルが到着してくれたおかげで話は中断できた。
「どうした、顔色悪いぞ」
トオルは不思議そうに僕を見ながら席についた。
彼が本題に入りたそうだったので、僕は由香里に席をはずしてもらった。
「マツダのことだがな」
トオルは話し始めた。なんでもマツダはあの日、街の裏社会を騒がす柄の悪い組織のひとつに因縁をつけられてしばかれたらしい。学校でのマツダはしばしば前時代的な指導で生徒の不興を買っている。組織のなかにマツダの指導を受けたことがある者がいるらしい。その逆恨みではないかというのがトオルとヒロさんの推測だ。
「それとな」
トオルは続けた。
「S高の番長マサキ。こいつもその集団の仲間だぞ」
にわかに僕の全身の毛穴が泡立った。
マサキ。
奴への私怨をつのらせていた僕は久しぶりにその名を聞いて憤怒にまみれた。トオルはそんな僕の心情を察したようだった。
「まあ落ち着け。俺も奴には並々ならぬ感情を持っている。しかしまずは冷静になろう」
「ああ、大丈夫だ。決して突っ走ったりはしない」
しかしどうしてくれよう。
奴は何度僕の怒りに触れれば気が済むのだ。
そう考えて、僕ははっとした。
もしやこれも僕へのペナルティーではないのか。夢でおじいちゃんが言った事、あれはやはりその通りなのではないか。
だとしたら僕はまたしても疫病神のような存在になってしまったのではないだろうか……。
「おい、タケシ」
気づくとトオルが心配そうな目で見ている。
「いや、すまん」
「今回の件だがな、警察もうまくは動いてくれんだろう。その組織には警察のお偉いさんの息子なんかも一枚噛んでいるらしい」
「そんなことがあるのか」
「それで警察とうまく取引しているらしいんだな。その他に存在する質の悪い組織を密告したりもしてるらしい。いずれにせようまく生きてる奴らだ」
言い終えるとトオルはウイスキーに口をつけた。
まったく悪い奴というのはずるがしこいから困る。
「それに、最近やつらはこういうことを繰り返しているらしい」
「どういうことだ?」
「拉致られてるのはマツダだけじゃないってことだ。報復だかなんだか知らんが」
「どうすればいい」
「いずれにせよ、あまり焦って動けば標的になりかねん。できるだけ人を集めて作戦を立てる。俺らだけではどうにもならん」




