変革~頬染めるイケメン
僕はスナックにいた。
マツダと来た、あのスナックだ。
ママさんは僕を覚えてくれていて、奥の席に通してくれた。
オレンジジュースを飲みながらトオルを待った。マツダの件は僕一人が考えたところでどうにもならないと思って呼び出したのだ。
しばらくすると一人のホステスが近づいてきた。
「あら、タケシ君?」
「え?」
驚くことに由香里だった。
「こんなところでなにしてるのよ」
それはこっちのセリフだと言い返すと、彼女は笑って言った。
「だってここ、おばあちゃんのお店だもん」
この店のママは、由香里の祖母だったのだ。なんて世界は狭いんだろうと思い、非日常的な世界に足を踏み込んだつもりの僕はちょっとがっかりした。けれど、学校であった時とはだいぶ違う由香里の華やかな装いには目を見張った。
「なによ、見惚れた?」
「馬鹿言うな」
「ふーん、タケシ君て意外と言葉づかいきつめよね。前からそうだったかしら?」
といって由香里は隣に座ってきた。なんのためらいもなくお酒を作り始める彼女に閉口しつつ、僕はトオルが早く来てくれることを願った。
「タケシ君」
「ん?」
「イケメンになったよね」
びっくりして彼女を見返した。
「いや、一年生の最初のころと全然違うじゃない」
「そうか……ありがとう」
そう言うのが精いっぱいだった。僕は褒められ慣れていない。
「ふふっ。あたしの料理部の後輩でも噂になってるわよ?」
「どうして」
「イケメンだから」
そう言うと彼女は作った焼酎の水割りに口をつけた。
「ちょっとお酒」
「あら、かたいこと言わないでよ。イケメンのくせに」
僕は閉口した。
「なにがあったか、教えてよ」
急に顔を近づけてくる由香里に僕は不覚にも顔が赤くなっていたかもしれない。
「あなた……Cクラスね」




