第1話 もう一人の俺
今日は俺の人生初デート。
駿は朝から気合が入っていた、というよりは浮き足立っていた。
テンションが高まりすぎたのか、
『これがリア充の気持ちか』
駿はそんなどうでもいいことを考えていた。
待ち合わせは10時だったが、少し早めに家を出た。
早めに家を出たので、焦ることもなくのんびりと歩いていた。が、何か嫌な予感がした。
『まあ、今まで嫌な予感がしてあたったことないし気にする事もないか』
何かモヤモヤしたものが残っているが、デートが楽しみでそんなことはもう気にかけなかった。
手元の腕時計を見ると、針は9時57分を指していた。
「やばっ、急げ!」
少し駆け足で待ち合わせ場所に向かった。待ち合わせ場所は駅の噴水の前だったが、そこには彼女の姿はなかった。
時計を見ると10時を過ぎていた。といってもわずか2分程度しか過ぎていなかったので、もう少し待てば来るだろうと思い待っていたが、一向に来ない。そんな時に携帯が鳴った。
見覚えのない番号で、少し警戒しながら電話に出ると、彼女の友達の小波綾香からだった。
「沙紀が車に撥ねられた!」
沙紀とは駿の彼女の名前だ。
いきなりの電話で、そのうえ焦って呼吸も乱れていたが、聞き取ることはできた。
よく状況が理解できなかったが、焦り気味に場所を聞いた。
「どこの病院だっ!」
「日赤病院!」
日赤病院なんて、どこにでもあるが、言っている場所はわかる。
急いで病院に向かい、集中治療室のある階まで来たときに、集中治療室の前にいた人物を見て足が止まってしまった。
そこにはいつも鏡で見ている自分の姿があった。
駿は、似ている人がいるもんだなと思ったが、それは気持ちを落ち着けるための誤魔化しでしかなく、目の前にいるのは正真正銘の駿自身だった。
驚いて声が出ないこちらの駿を見ながら、向こうの駿が口を開いた。
「すまなかった」
駿は訳が分からなかった。いきなり目の前に自分と同じ人物が現れたうえ、いきなりすまないと言われたからだ。
少し間を置いてまた向こうの駿は口を開いた。
「お前の――」
「ま、待てよ。お前は誰なんだ?」
向こうの駿の言葉にかぶせるように聞いた。向こうの駿は少し俯きながら答えた。
「俺は……早坂駿だ」
駿は愕然とした。
「パラレルワールドというものを知っているか」
固まった駿を見て、向こうの駿は聞いてきた。口にこそ出せなかったが、駿はパラレルワールドを知っていた。そんなものがあればと思いを馳せたことまであった。
そう思っていると、向こうは駿がパラレルワールドを知っていることを理解したらしく、続けて言った。
「俺はお前に会いに来た」
最後までお読みいただきありがとうございました。
ちょっと調子に乗ってすぐに続きを書いてしまいましたが、どうでしたでしょうか。まだまだだと思いますが、まだ続くので続けてお読みいただければ嬉しい限りです。
ありがとうございました