計画的な・・・
えっとなんていうか・・・志榮はセコイんですね。だからどうにか格闘して考え付いた手ですね。あほじゃんあたし・・みたいな
あなたがいた日々 計画的な・・・・
合唱練習中に風邪を引いた。
症状は不幸にも喉。
一週間近くあたしは声が出なかった。
普通なら3日もあれば治るものだが過剰な喉の使い過ぎからますます喉は役目を果たさなくなっていったあたしは早く寝れば多少回復するだろうと思い早めに床についた。
けれどやはり喉は役目を失ったままで声はほとんど出なかった。朝練をサボりたいと思った
わざと遅刻をして8時待ち合わせなのに8時に家を出た
うちは遠かったから、もちろん朝練には間に合わない・・・もちろん計画的なはなし
あたしは寒くなってきた10月の朝をゆっくり歩いてた
何もすることもなく・・ただ今日もあの男に会うのか?もう恋人なんていうものは捨てたい
そしてあたしは下駄箱で不意にやってしまった行為
それが今の自分がいる最初の第一歩だと今なら思えた
計画的に遅刻して、ある男の上履きを見た
それは彼氏のでもなきゃ友人のでもない。ただ・・・もしかしたら二人きりになれるかもって
過ち的な考え
「やっぱし・・・いない」
それを見て心の隙間に嬉しさがこみ上げる
あたしは3階までやや高いテンションで上がった。そして教室は閉め切ってあった
だけど聞こえるのは合唱曲。本番2週間前なのだからもうパート練習なんかしないのだろう
約7分もあるその曲。あたしが来た時点では2分過ぎくらいだった
そしてしばらくそれを聞いてると・・あたしが待っていたひとが現れた
「なんでお前いるの?」
「・・・・遅刻」
「あっそ。なんで入らないの?」
「入れない」
「あぁ唄ってるんだ」
「うん」
そいつは自分が遅刻したことなんてなんとも思ってない
あたしはそいつに会えたことがなぜだかとても嬉しかった。朝だからまだ掠れてない声であたしはそいつと会話した
「入らないの?」
「お前が入ったらいいけど?」
「なにそれ・・・」
しばらくするとまた別の少年が遅れて廊下に現れた
そして曲が終わると同時に彼はあたしに入ろうぜと言って教室の後ろのドアを勢いよく開けた
「梨都〜!?何アンタ遅れてんの!?」
「だって・・・声」
そしてあたしはこの後決定的なものを目撃した
その姿を見た瞬間、あたしは笑ってごまかした。だってその瞬間、愛は彼になかったのだから
「ぷっ・・なにその格好」
「お前笑ったな〜」
「なんでぼうずなの?」
「俺、英語75じゃん。自分への戒めを込めて剃った」
「・・あぁそう」
あたしはおかしなことだけど普通にぼうずは好きじゃなかった
だって・・・野球部でもないくせに似合わない頭されちゃこっちが嫌だ
理論的には果てしなくおかしいけど、嫌いなんだからしかたない
「お前75くらいでぼうずにすんなよ」
「だってよ、松田」
あたしは君にこのときからだね
本当に好きになったのはこのときからだったんだね
「お前ピアノのくせに遅刻するなんて」
「だって起きれないし」
「あたしも遅刻だったしね」
そうあたしは同じ給食委員の松田に本気で惹かれていった
そうですね・・実は彼は席隣だったんだ・・ってこと最近他人に言われて気付きましたね・・・