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2-1.綺麗な幽霊屋敷


 それは砂利道の坂を登った先にある、高い門に囲まれた大きな白い一軒家の話だ。


 誰も住んでないはずのその家は不思議なほど綺麗で、庭には小さな花が咲いている。

 地元の人でなければ、誰かが暮らしているとしか思えないだろう。

 けれど、この家に人がい住んでいたのは昔のことだ。


 それなのに、窓が開いていることがある。

 白いカーテンが風で靡くと、窓辺に女が立っている。


 女は外を眺めており、目が合った人に手を振るという。

 女は幽霊で、手を振られた人は呪われてしまうらしい⋯⋯。


 そんな綺麗な幽霊屋敷の怪談が私が小学生の頃、流れていたのだ。




「ここ、こんなんだったけ」


 シュンちゃんが目の前の年季の入った廃墟を見上げる。


 それは紛れもなく、かつての綺麗な幽霊屋敷だった。

 今ではペンキは剥げ、雑草や蔦が鬱蒼と生い茂っており、雨風で文字が読めなくなった看板がかけられている。


 ーーーどうしてこんな風になってしまったのか、私は知っていた。


「売地になっちゃったからね。近所の人も引っ越しちゃって、持ち主も体裁をそこまで気にしなくて良くなったんだよ」


「こんなんじゃ余計買い手つかないんじゃねーの?」


「売れても売れなくても、もうどっちでもいいんだって」


「へえ」


 シュンちゃんは背丈くらいのフェンスよりもさらに上にある二階を見上げながら、家を見渡す。

 流石に門の中には入らないつもりらしい。


「昔、ここも何回か探検に来たよな。女の幽霊なんていないのを確認するって」


「うん」


 彼が視線を上に向けたまま、あ、と何かを思い出したように呟く。


「そういえば、何回目かに、女子が一緒についてきた」


 女子。私はその子を確かに覚えていた。

 シュンちゃんに名前を告げるが、ピンと来ないようだ。


「ここは亜里沙ちゃん家の遠縁の親戚の家だったんだよ」



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