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1-6.河童の出る川


 夕暮れのバス停で五人仲良く(正確には仲良くないけど)バスを待つ。


 所詮同じ学区に住む小学生同士、当然帰り道のルートは皆途中まで同じだった。

 バスの待ち時間は30分程で意外に早く来るようだったけど、その間誰も口を開かなかった。


 漸くして来たバスにお互いに順番を牽制し合いながらバスに乗る。


 バスはその日に限って乗客はほとんどおらず、静かだった。

 シュンちゃんと私、剛史君達で別れて座ろうとした所、運転手さんが私達を仲良しグループと勘違いしたらしく、いちばん後ろで一並びに座るようにこやかに促した。

 なんでこんなに空いてるのに鮨詰めのように座っているんだろう。恐らく皆そう思っていたけど誰も口にしなかった。


 シュンちゃん、私、子分A、子分B、剛史君の並びで座る。

 私はこっそりとシュンちゃんと剛史君達を見た。

 皆少し擦りむいてはいたが幸い大きな怪我や大きな傷はないようだった。

 今更ながらその事に安堵していると、シュンちゃんが、ん、と言って何かをくれる。絆創膏だった。


『ありがとう』


 小声でお礼を言うとシュンちゃんはふいっとバスの外を向いてしまった。


(シュンちゃんはなんて気が利くのだろう)


 感動しながら知らないうちに擦りむいてたらしい腕に貼るべく絆創膏を広げる。

 すると、なぜか四枚あった。間違って沢山渡したのだろうか。

 いや彼に限ってそんなことはないだろう。

 聞いても良かったけど、相変わらずシュンちゃんは外を見てたので勝手に判断する事にした。


『あげる。回して』


 隣に座る子分にそう言って渡す。

 シュンちゃんから、と更に小声で伝えると子分は怪訝な顔をしながら隣に回す。

 それを受け取った子分もこれまた怪訝そうな顔をして受け取って伝言ゲームのように剛史君に渡した。


『⋯⋯』


 最後に受け取った剛史君が黙ったまま私越しにシュンちゃんをじっと見る。暫くすると彼は絆創膏を乱暴にしまった。


 静かなままバスが剛史君達の最寄りの停留所に着く。

 剛史君達が降りる寸前、私達の方を見た。


『お前ら、意外にやるじゃん。河童は絶対にいるけどな!』


 捨て台詞を言い放って急いで子分二人と降りていき、プシューっとドアが閉まる。


 私は剛史君は存外昔っぽいノリをする人で、そして素直じゃない所がシュンちゃんと似ているなとも思った。


『⋯⋯フンッ、何あれ。漫画の見過ぎだろ』


 シュンちゃんが外を見たままそう言う。


 その声はどことなく嬉しそうだった。




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