4-5.そうして
「バカみたいだよな。あの頃も祖父さんの主張を曲げたくなくて皆に突っかかって嫌われてたのに、結局俺だけが特別だったわけじゃなかった。でも⋯⋯それも終わりだ。今日が四十九日だったからな」
私はようやくシュンちゃんが制服の理由を知った。
法事のあと、親戚の人達が歓談する中、シュンちゃんは一人抜けてきたと言った。
親戚達一同で集まって、会いたくなかったお兄さんやお義姉さんとも顔を合わせて、その中で一人知りたくなかった秘密を抱えて過ごした彼の気持ちはどんなものだったんだろう。
(私がその場にいたら、少しでも彼の気持ちを軽くすることが出来たのかな)
もし本当に私がその場にいる事ができたのなら、お兄さんの秘密を暴露してしまうかもしれない。だって腹が立つ。
シュンちゃん一人に重い荷を背負わせて、悲劇のヒロイン面だなんて。
二人には二人しかわからない苦労があるのだろう。彼らの物語から見れば、シュンちゃんの方が間違ってるように映るのかもしれない。
でもそれが何だって言うんだ。
私は別に正しくありたい訳じゃない。ただシュンちゃんの味方でいたいだけだ。
だいたいお祖父さんだってどうなんだ。
会ったことのない人をこんな風に思うのは間違ってるかもしれないが、あまりに見る目がないと思う。
だって失礼ながらお兄さんは血の繋がりや恩もある親族よりも、結局女との独りよがりな秘密を選ぶような男じゃないか。
そんな奴よりもシュンちゃんの方が、愛しいとなぜ気づかないのか。シュンちゃんの両親だって、なんでもっと彼を見ないんだ。
ーーーそう、そこまで考えて、虚しくなった。だって、私は所詮こんなことを心の中で思ってるだけで、結局彼になにひとつ言えない。
だって何が彼を傷つけてしまうかわからない。
なんだかんだ言ってるけど、実の家族のことを悪く言われて嬉しい人なんていないんじゃないか。
自分で言うのと他人が言うのは違うものだ。
そもそも彼から見た景色と私から見た景色は違うのに、わかった風な口をきくものじゃないだろう。
でもなあなあな言葉で誰も傷つけない気休めの慰めを言うのは、もっと違う気がした。




