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追放令嬢の私、規格外錬金術で国家認定“危険個体”にされたけど、公爵様が全力で囲って溺愛してきます  作者: 慈架太子


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第30話 それでも私は、この人を選ぶ

第30話「選んだ未来」


崩壊した戦場。


瓦礫と静寂。


その中心に――


黒い外套の男が立っていた。


「……やはり、ここまで来ましたか」


特別執行官。


その気配は、これまでとは比べ物にならない。


(……違う)


(これが本体)


「リリアーナ」


アルヴェルトの声。


「来るぞ」


「はい」


(……ここで終わらせる)


男が一歩、踏み出す。


その瞬間。


世界が歪む。


(……重い)


空間そのものが、圧し潰される。


「これは」


「“調整”ではありません」


「排除です」


(……最初からそのつもり)


「――展開」


男の魔力が解放される。


巨大な術式が、空を覆う。


(……広域制圧)


「……面倒だな」


アルヴェルトが呟く。


「リリアーナ」


「はい」


「最後だ」


(……)


「全力で行く」


「当然です」


(もう、引かない)


「――来る」


男が消える。


(……速い)


「右!」


アルヴェルトが反応する。


衝突。


火花が散る。


(……互角)


「……やはり」


男が、わずかに笑う。


「二人揃うと厄介だ」


(……)


「だが」


「それでも足りない」


(……)


次の瞬間。


圧が、さらに増す。


(……まずい)


「……リリアーナ!」


「分かってます!」


(……限界を超える)


魔力を引き上げる。


(……全部使う)


「――解放」


光が、空間を満たす。


(……見える)


術式のすべてが。


(……これなら)


「――解体」


男の術式を、崩しにかかる。


だが――


「甘い」


一言。


術式が、再構築される。


(……速い)


「これが差です」


(……)


「……リリアーナ」


「はい」


「まだいけるか」


(……)


一瞬、迷う。


(……足りない)


(このままじゃ届かない)


その時。


「……一つだけ」


小さく呟く。


「方法があります」


「何だ」


「全部、出します」


沈黙。


「……危険だな」


「ええ」


「でも」


視線を合わせる。


「信じますか?」


一瞬の沈黙。


「……当然だ」


(……)


(それで十分)


「では」


手を伸ばす。


「全部、預けます」


アルヴェルトが、それを掴む。


瞬間。


(……来る)


魔力が、完全に重なる。


(……限界突破)


(でも)


(壊れない)


「――統合」


世界が、静まる。


(……全部見える)


「……なるほど」


男が呟く。


「そこまで来ましたか」


(……今度こそ)


「――終わりです」


術式を、一気に書き換える。


男の防御が崩れる。


「今です!」


「――ああ」


アルヴェルトが踏み込む。


全力の一撃。


時間が、止まる。


そして――


一閃。


沈黙。


男の体が、ゆっくりと崩れる。


「……見事」


最後に、微笑む。


「ですが」


「これで終わりではない」


(……?)


「世界は、あなたを放っておかない」


(……)


「いずれ」


「また選ばされる」


その言葉を残して。


男は消えた。


静寂。


(……終わった)


力が抜ける。


「……リリアーナ!」


支えられる。


「大丈夫です」


(……なんとか)


「……無茶をするな」


(……最後までそれ)


「でも」


少しだけ、笑う。


「勝ちました」


沈黙。


「……ああ」


「勝った」


その一言で。


すべてが、報われる。


「……アルヴェルト様」


「何だ」


「もし、また選ぶ時が来たら」


少しだけ、間を置く。


「どうしますか?」


沈黙。


「……決まっている」


低く、はっきりと。


「お前を選ぶ」


(……)


一瞬。


言葉が止まる。


(……変わった)


「……国は?」


「捨てる」


(……)


「必要なら」


(……極端ね)


「……それでは困ります」


小さく笑う。


「全部、取りましょう」


沈黙。


そして。


「……ああ」


短く、頷く。


そのまま。


静かな空の下。


二人、並んで立つ。


(……これで)


(終わりじゃない)


(でも)


(ここが、一つの答え)

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