第28話 王都が、私を排除しに来た
第28話「王都侵攻」
鐘の音が、王都全体に響き渡る。
重く、長く、何度も。
(……警鐘)
ただ事ではない。
「王宮だ」
アルヴェルトの声。
「来るぞ」
(……来る)
空気が変わる。
屋敷の外。
人の気配が一気に増える。
「報告!」
騎士が駆け込んでくる。
「王宮騎士団、及び魔導部隊が展開!」
(……多いわね)
「規模は?」
「……中隊以上!」
(……本気ね)
「目的は」
「リリアーナ様の確保、及び――」
一瞬、言葉を詰まらせる。
「公爵邸の制圧」
(……完全に敵扱い)
沈黙。
「……外に出る」
アルヴェルトが言う。
(当然ね)
「私も行きます」
「来い」
(止めない)
門前。
そこには。
圧倒的な数の兵。
騎士。
魔導師。
結界展開班。
(……完全包囲)
「……壮観だな」
アルヴェルトが呟く。
(余裕ね)
中央。
一人の男が前に出る。
「アルヴェルト公爵」
(……また別格)
「王命により」
「対象の確保、及び抵抗勢力の排除を行う」
(……隠さなくなった)
「最終通告だ」
「リリアーナを引き渡せ」
沈黙。
「……断る」
(変わらない)
「ならば」
男が手を上げる。
「――開始」
その瞬間。
魔力が、空を覆う。
(……広域結界)
王都の一部が、完全に隔離される。
(……逃げ場なし)
「……リリアーナ」
「はい」
「やれるか」
(……聞くのね)
「全力で」
即答する。
(もう迷わない)
「――行くぞ」
戦闘開始。
魔導部隊が一斉に詠唱。
光が降り注ぐ。
(……広範囲攻撃)
「――干渉」
空間を書き換える。
光が、逸れる。
(防げる)
騎士団が突撃してくる。
「……雑魚だ」
アルヴェルトが前に出る。
一閃。
数人が、一瞬で無力化される。
(……相変わらず)
「リリアーナ!」
「はい!」
「後方を潰せ!」
(……了解)
魔導部隊へ向かう。
(……数が多い)
「――分解」
魔力を放つ。
術式を崩す。
詠唱が乱れる。
(……止めた)
だが――
「第二陣、展開!」
(……まだ来る)
空が、さらに歪む。
(……上位魔導)
「……面倒だな」
アルヴェルトが呟く。
「まとめて潰す」
(……頼もしい)
「いえ」
一歩、前へ。
「分担です」
沈黙。
「……任せる」
(……信頼された)
「――展開」
魔力を最大まで引き上げる。
空間全体を書き換える。
(……これで)
「術式、全域干渉」
魔導陣が、一斉に崩れる。
「なっ――!?」
(止まった)
「今です!」
アルヴェルトが動く。
音が消える。
次の瞬間。
前線が、崩壊する。
(……強い)
「……やはり危険だ」
中央の男が呟く。
「予定変更」
手を上げる。
「“切り札”を出せ」
(……来る)
空気が、変わる。
地面が、揺れる。
(……何)
地面から。
巨大な魔導構造体が出現する。
(……嘘でしょ)
「対個体制圧兵器」
(……本気すぎる)
「リリアーナ様専用だ」
(……名指し)
巨大な砲口が、こちらを向く。
(……まずい)
「……リリアーナ」
「はい」
「これは俺がやる」
(……)
「無理です」
即答する。
「一人では処理しきれません」
(……)
「分担です」
沈黙。
「……どうする」
(……)
一瞬で計算する。
(構造、出力、干渉範囲)
「私が中枢を止めます」
「あなたは外殻を破壊してください」
「……可能か」
「やります」
(できるかじゃない)
(やる)
「……いいだろう」
「行くぞ」
(……来た)
二人で、同時に動く。
(ここが)
(分岐点)




