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追放令嬢の私、規格外錬金術で国家認定“危険個体”にされたけど、公爵様が全力で囲って溺愛してきます  作者: 慈架太子


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第26話 守るって、どうすればいい

第26話「守るということ」


夜。


公爵邸は静まり返っていた。


だが――


(……落ち着かない)


執務室。


書類が机に積まれている。


だが、一枚も進んでいない。


(……集中できない)


理由は、分かっている。


「……リリアーナ」


無意識に名前が漏れる。


(……距離を取った)


あいつが。


(……いや)


(俺が取らせた)


「外には出るな」


そう言った。


(……正しい判断だ)


狙われている以上、制限は必要。


(だが)


(あいつは納得していない)


思い出す。


「管理対象としてだ」


(……)


(あれは)


拳を握る。


(最悪だ)


「……何をやっている」


低く、呟く。


(……違うだろう)


守るために。


そばに置いたはずだ。


(なのに)


(縛った)


椅子から立ち上がる。


足が、自然と動く。


(……どこへ)


分かっている。


廊下。


静かな夜。


(……ここだ)


リリアーナの部屋の前。


(……)


扉の前で、止まる。


(……どうする)


ノックするか。


それとも。


(……)


手を上げて――


止まる。


(……)


(……入る理由がない)


一歩、下がる。


(……違う)


(理由はある)


(確認)


(安全確認)


(……言い訳だな)


「……」


そのまま、数秒。


(……)


「……入る」


小さく呟く。


扉を開ける。


「……」


部屋の中。


暗い。


ベッドの上。


リリアーナが、横になっている。


(……寝ているか)


静かに近づく。


(……顔色)


悪くはない。


(……問題ない)


安堵が、少しだけ広がる。


その時。


「……アルヴェルト様」


(……起きていたか)


「……どうかしましたか?」


静かな声。


(……)


「……確認だ」


短く言う。


「……そうですか」


沈黙。


(……)


「……リリアーナ」


「はい」


「……さっきの件だが」


言葉が、詰まる。


(……何を言う)


(謝るか)


(否定するか)


(……)


「……言い過ぎた」


ようやく出た言葉。


沈黙。


(……)


「……そうですね」


静かな返答。


(……否定しないか)


「……」


「……アルヴェルト様」


「何だ」


「私は」


少しだけ、間を置く。


「管理されるためにここにいるわけではありません」


(……)


「……分かっている」


即答する。


(……分かってる)


(でも)


「……なら」


「どうして、あの言い方を?」


(……)


言葉が出ない。


(……答えは分かっている)


(余裕がなかった)


(焦った)


(失うのが)


「……」


「……アルヴェルト様」


「……」


「……怖いんですか?」


(……)


その言葉で。


すべてが止まる。


(……)


(……ああ)


「……ああ」


初めて。


認める。


「……怖い」


(……)


「お前が」


一歩、近づく。


「いなくなるのが」


(……)


完全な沈黙。


(……言った)


「……だから」


「縛るんですか?」


(……)


「……違う」


だが。


「……そうなっていた」


(……)


「……リリアーナ」


「はい」


「どうすればいい」


(……)


初めての言葉。


(……)


(この人が)


(聞いてる)


「……」


リリアーナが、少しだけ視線を逸らす。


「……分かりません」


(……)


「私も」


「どうすればいいか」


「まだ、分かりません」


(……)


沈黙。


だが。


(……)


(少しだけ)


(戻った)


「……そうか」


小さく呟く。


「……今日は」


「それでいい」


(……)


「……はい」


そのまま。


少しだけ、距離を残して。


部屋を出る。


廊下。


(……)


「……分からない、か」


小さく呟く。


(……それでも)


(やるしかない)


「……守る」


その言葉だけは。


変わらなかった。

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