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追放令嬢の私、規格外錬金術で国家認定“危険個体”にされたけど、公爵様が全力で囲って溺愛してきます  作者: 慈架太子


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第22話 二人なら、届く場所がある

第22話「並び立つ力」


崩れかけた結界の中。


空気はまだ歪んでいる。


その中心で――


(……来た)


アルヴェルトが、私の前に立っていた。


「立てるか」


短い声。


「ええ」


なんとか身体を起こす。


(……少し、無理した)


だが――


(まだ動ける)


「……下がっていろ」


「却下です」


即答する。


一瞬の沈黙。


「……またそれか」


低く呟く。


「今度は違います」


一歩、隣へ。


「一人では足りません」


(……言った)


「だから」


「一緒にやります」


沈黙。


(……)


「……そうか」


短い返答。


だが。


(受け入れた)


「では」


アルヴェルトが剣を構える。


「合わせろ」


(来た)


「はい」


その瞬間。


空気が変わる。


「……いい判断です」


特別執行官が、わずかに笑う。


「二人なら」


「多少は面白い」


(余裕ね)


「――来るぞ」


「分かっています」


男が動く。


消えたような速度。


(……速い)


「右です」


瞬間、声を出す。


アルヴェルトが動く。


剣が、正確にその位置を捉える。


衝突。


火花。


(……当てた)


「ほう」


男がわずかに驚く。


「見えているのですか」


(ええ)


「流れが見えます」


「なら」


「潰せます」


魔力を展開する。


「――干渉」


空間を書き換える。


男の足元。


わずかに、遅れる。


「今です」


アルヴェルトが踏み込む。


一閃。


男の体が、わずかに弾かれる。


(効いてる)


「……連携か」


「いいですね」


男の気配が、さらに重くなる。


(……来る)


「次は本気です」


(……やっとね)


圧が増す。


空気が、押し潰される。


「……リリアーナ」


「はい」


「無理をするな」


(……またそれ)


「分担します」


「お前は制御」


「俺が切る」


(……完璧ね)


「了解です」


(信頼されてる)


男が消える。


(来た)


「左後方!」


声を出す。


同時に。


「――干渉」


動きを、縛る。


ほんの一瞬。


それで十分。


アルヴェルトが現れる。


「――斬る」


一撃。


空間ごと、切り裂く。


「っ……!」


男が初めて、大きく後退する。


(……通った)


「……これは」


男が、初めて表情を変える。


「危険ですね」


(ええ)


「二人揃うと」


「想定以上です」


(当然)


「……リリアーナ」


「はい」


「行くぞ」


(……来る)


「合わせます」


魔力を最大まで引き上げる。


(……これで)


「――解体」


空間の構造を、書き換える。


男の防御が、崩れる。


「今です」


「――ああ」


アルヴェルトが踏み込む。


速度が、さらに上がる。


(……速い)


視界が追いつかない。


だが――


(信じればいい)


一閃。


音が消える。


次の瞬間。


男の結界が、完全に砕ける。


沈黙。


「……見事です」


男が、ゆっくりと後退する。


「今回は、ここまでにしましょう」


(……引いた)


「……逃がすか」


アルヴェルトが動こうとする。


「無理です」


私は止める。


「今は追えません」


沈黙。


(……)


「……そうか」


剣が下ろされる。


(……収まった)


男が消える。


結界が解ける。


現実が戻る。


静寂。


(……終わった)


その瞬間。


ぐい、と腕を引かれる。


「……っ」


抱き寄せられる。


「……無茶をするな」


(……また)


「分担です」


「……言い訳だ」


(……厳しい)


「でも」


少しだけ、顔を上げる。


「一人じゃ無理でした」


沈黙。


(……)


「……俺もだ」


(……)


「お前がいなければ」


「当てられなかった」


(……それ)


胸の奥が、熱くなる。


「……では」


小さく笑う。


「お互い様ですね」


「……ああ」


そのまま。


少しだけ、距離が近いまま。


「……リリアーナ」


「はい」


「勝手に動くな」


(……またそれ)


「……努力します」


「だから足りない」


(同じ会話)


でも。


(違う)


「……次は」


少しだけ、声を落とす。


「一緒に行きます」


沈黙。


「……ああ」


短い返答。


だが――


今度は、迷いがなかった。

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