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追放令嬢の私、規格外錬金術で国家認定“危険個体”にされたけど、公爵様が全力で囲って溺愛してきます  作者: 慈架太子


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第21話 一人でも大丈夫――そう思った瞬間、間違えた

第21話「一人で届く限界」


夜。


公爵邸を出るとき、振り返らなかった。


(……行くと決めた)


足を止めれば、揺れるから。


(だから)


そのまま、街へ出る。


王都の裏通り。


昼とは違う顔。


灯りは少なく、人の気配もまばら。


(……いる)


空気が違う。


魔力の流れが、不自然に歪んでいる。


(追える)


目を閉じる。


意識を集中。


(……ここから、分岐してる)


複数の流れ。


だが――


(強い方)


そちらへ進む。


細い路地。


さらに奥。


人の気配が消える。


(……正解ね)


「――来ると思っていましたよ」


声。


(……やっぱり)


振り返る。


黒い外套の男。


昼間の――特別執行官。


「単独行動とは」


薄く笑う。


「予想通りです」


(……誘われたわね)


「……待っていたのですか?」


「ええ」


一歩、近づく。


「あなたが来ることを」


(……完全に罠)


「ですが」


「来ましたね」


(ええ)


「来ました」


沈黙。


(……ここから)


「用件は?」


「簡単です」


男の目が、わずかに細められる。


「あなたの“確認”」


(……確認)


「どの程度まで危険か」


(測る気ね)


「では」


一歩、踏み込む。


「見せましょうか」


(ここで引く意味はない)


「……いいですね」


男の気配が変わる。


(来る)


「――展開」


魔力が空間を満たす。


周囲が歪む。


(……閉じた)


結界。


完全に、外と切り離された空間。


(……準備いいわね)


「これで」


「誰にも邪魔されません」


(……アルヴェルト様も)


「……では」


男が手を上げる。


その瞬間。


――圧。


空気が押し潰される。


(……重い)


「どうです?」


(……強い)


昼間とは、別物。


(本気ね)


「……悪くありません」


小さく息を吐く。


(なら)


「こちらも」


指先に魔力を集める。


「――展開」


空間に、光が走る。


干渉。


再構築。


「ほう」


男がわずかに興味を示す。


「それが、あなたの力ですか」


(ええ)


「失われた技術」


「再現と改変」


(見抜くの早いわね)


「では」


「どこまでできるか」


一歩、踏み込んでくる。


(速い)


視界が歪む。


(……来た)


「――干渉」


瞬間、空間を書き換える。


男の軌道をずらす。


「……」


一撃が、外れる。


(避けた)


「面白い」


次の瞬間。


――加速。


(……!?)


さっきより、速い。


(対応――)


「っ!」


腕に衝撃。


弾かれる。


(……今の)


(見えなかった)


「……一人で来た理由が分かりました」


男が言う。


「自分で確認したかったのでしょう?」


(……)


「どこまで通用するか」


(……ええ)


「ですが」


一歩、近づく。


「ここが限界です」


(……)


「あなたは強い」


「だが」


「“一人では足りない”」


(……それ)


胸の奥に刺さる。


(分かってる)


でも。


(認めたくない)


「……まだです」


魔力を集中。


出力を上げる。


(もっと)


(いける)


「――解放」


光が爆発する。


空間が震える。


(……これなら)


「……」


男が、わずかに目を細める。


「なるほど」


「危険だ」


(……)


次の瞬間。


――衝撃。


「っ――!」


体が吹き飛ぶ。


壁に叩きつけられる。


(……重い)


呼吸が乱れる。


(……まずい)


「無理をしましたね」


男が近づいてくる。


(……)


(動けない)


「だから言ったでしょう」


「一人では足りない」


(……)


悔しさが、込み上げる。


(……分かってる)


でも。


(それでも)


「……まだ」


立ち上がろうとする。


その瞬間。


男の手が、伸びる。


(……終わり)


そう思った、瞬間――


――轟音。


空間が、裂ける。


「……遅い」


低い声。


(……来た)


振り返る。


そこにいたのは――


アルヴェルト。


結界を、力で破って。


(……無茶するわね)


「……やはり来ましたか」


男が言う。


「当然だ」


一歩、前へ。


完全に、私の前。


(……)


「……言ったはずだ」


低い声。


「離れるなと」


(……)


「……すみません」


小さく呟く。


(……でも)


(来てくれた)


胸の奥が、少しだけ軽くなる。


「……後で聞く」


短い言葉。


(……怖いわね)


だが――


「今は」


剣を構える。


「排除する」


(……安心する)


一人では届かなかった領域。


(でも)


(今は違う)

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