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追放令嬢の私、規格外錬金術で国家認定“危険個体”にされたけど、公爵様が全力で囲って溺愛してきます  作者: 慈架太子


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第18話 連れて行く――拒否権はない

第18話「踏み込む者」


朝。


公爵邸の門前は、異様な空気に包まれていた。


(……早い)


重装備の騎士たち。


整列する王宮直属部隊。


その中央に立つ、一人の男。


(……ただの使者じゃない)


明らかに、指揮官クラス。


「リリアーナ様」


執事の声。


「王宮騎士団が到着しております」


(見れば分かるわね)


「……アルヴェルト様は?」


「すでに門前へ」


(でしょうね)


外へ出る。


朝の空気が、張り詰めている。


そして――


「来たか」


低い声。


アルヴェルトが、門の前に立っていた。


その背中は、完全に“戦う側”。


(……いい位置ね)


彼の隣へ並ぶ。


自然と。


その瞬間。


王宮側の視線が、一斉にこちらへ向く。


(……分かりやすい)


「アルヴェルト公爵」


中央の男が口を開く。


「命令書はすでに届いているはずだ」


「知っている」


短い返答。


「ならば話は早い」


男の視線が、私に向く。


「リリアーナ・エルフォード」


(フルネーム、ね)


「国家安全保障上の重要対象として、王宮へ同行していただく」


(……丁寧ね、言い方は)


「拒否権はない」


沈黙。


「……断る」


アルヴェルトが言う。


(即答)


「これは国王陛下の正式命令だ」


「関係ない」


一切の揺れなし。


(……強い)


「ここは俺の領地だ」


一歩、前に出る。


「踏み込むなら、それなりの覚悟をしろ」


空気が、凍る。


騎士たちがざわめく。


「……脅しか?」


男が目を細める。


「事実だ」


(完全にやる気ね)


「……アルヴェルト様」


小さく呼ぶ。


「何だ」


「少しだけ」


一歩、前に出る。


「話させてください」


彼が一瞬だけこちらを見る。


(止める?)


だが――


「……好きにしろ」


(通った)


前へ出る。


王宮側と、正面。


「リリアーナ・エルフォードです」


軽く一礼する。


「確認ですが」


「はい」


男が応じる。


「私は“危険対象”ですか?」


沈黙。


「……そう判断されている」


(正直ね)


「理由は?」


「不明な能力。出自不明。管理外の戦力」


(的確)


「なるほど」


小さく頷く。


「では、質問を変えます」


一歩、踏み込む。


「私を王宮に連れて行った場合」


「制御できますか?」


沈黙。


男の目が、わずかに揺れる。


(答えられない)


「……それは」


「できないでしょう」


先に言う。


「なら」


視線をアルヴェルトへ向ける。


「こちらにいた方が、安全では?」


沈黙。


(……)


男が、わずかに眉を寄せる。


「……理屈は通る」


(ほら)


「だが、それを決めるのは貴様ではない」


(当然ね)


「命令は命令だ」


「強制的にでも連行する」


その言葉と同時に。


騎士たちが、一歩前に出る。


(……来るわね)


「――動くな」


低い声。


アルヴェルト。


一歩、前に出る。


完全に、私の前。


「……ここから先は、一歩も進ませない」


(……完全防御)


「……最終警告だ」


男が言う。


「リリアーナを引き渡せ」


沈黙。


「……断る」


(……変わらない)


その瞬間。


「――捕らえろ」


命令。


騎士たちが、一斉に動く。


(来た)


「下がるな」


アルヴェルトの声。


「はい」


(ここで逃げたら終わり)


最初の騎士が突っ込んでくる。


速い。


だが――


一閃。


アルヴェルトの剣が、空を裂く。


騎士の剣が弾かれる。


(……圧倒的)


「……止まれ!」


指揮官が叫ぶ。


だが、止まらない。


二人、三人と襲いかかる。


(……多い)


「――干渉」


小さく呟く。


魔力を流す。


騎士たちの足元。


一瞬だけ、動きが鈍る。


「……何!?」


「今です」


アルヴェルトが動く。


最小限の動きで、全員を制圧する。


音が、止む。


完全な沈黙。


(……終わった)


「……馬鹿な」


指揮官が呟く。


(当然ね)


「……見ただろう」


アルヴェルトが言う。


「これが“管理外”だ」


(……挑発ね)


「……」


指揮官が、ゆっくりと剣を収める。


「……撤退する」


(……引いた)


「だが」


視線がこちらに向く。


「これは終わりではない」


(ええ、知ってる)


「次は、もっと大きい」


(……でしょうね)


騎士団が引いていく。


静寂が戻る。


「……やりすぎでは?」


小さく言う。


「問題ない」


即答。


(強い)


「完全に敵対しましたよ」


「最初からだ」


(……それもそうね)


「……リリアーナ」


「はい」


「後悔しているか」


一瞬、間。


(……)


「いいえ」


はっきりと答える。


「むしろ」


少しだけ、笑う。


「楽しくなってきました」


その瞬間。


彼の口元が、わずかに動く。


「……そうか」


(……珍しい)


「なら問題ない」


そのまま。


ぐい、と腕を引かれる。


「……っ」


引き寄せられる。


「……離すな」


(……また)


「はい」


今度は、迷わない。

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