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追放令嬢の私、規格外錬金術で国家認定“危険個体”にされたけど、公爵様が全力で囲って溺愛してきます  作者: 慈架太子


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第16話 「俺の隣にいろ」――それが答えだった

第16話「隣にいる理由」


朝。


公爵邸の空気は、いつもと同じ――のはずだった。


(……違う)


廊下に出た瞬間、視線が集まる。


明確に。


(……早いわね)


昨日の中庭の出来事が、もう広まっているらしい。


(誰が見てたのかしら)


「リリアーナ様」


使用人が、深く頭を下げる。


昨日までより、明らかに丁寧。


(完全に扱いが変わった)


「来い」


後ろから声。


振り返ると、アルヴェルト。


(……近い)


何も言わず、隣に並ぶ。


自然と距離が詰まる。


(もう隠す気ないわね)


食堂へ向かう途中。


廊下の角で――


「……あ」


ルークと目が合う。


一瞬、固まる。


視線が、私とアルヴェルトを往復する。


(察したわね)


「お、おはようございます!」


妙に声が上ずっている。


「おはようございます」


普通に返す。


だが――


アルヴェルトが一歩前に出る。


完全に、遮る位置。


(……徹底してる)


「……その、体調は大丈夫ですか?」


ルークが聞く。


「問題ありません」


「そうですか、よかった――」


「行くぞ」


アルヴェルトが遮る。


(速い)


「は、はい!」


ルークが慌てて道を開ける。


(完全に理解したわね)


そのまま通り過ぎる。


背後から、小さな声。


「……マジかよ……」


(ええ、マジです)


食堂。


席に着く。


今日も向かい合い。


(……昨日と違う)


空気が、落ち着いている。


(決まったからね)


「……視線が増えたな」


アルヴェルトが言う。


「ええ」


「気になるか」


「少しだけ」


正直に答える。


「問題ない」


即答。


(強い)


「俺が隣にいる」


(……)


一瞬、言葉が止まる。


(さらっと言うのよね、この人)


「それ以上の理由はない」


(……強い)


「……そうですね」


小さく頷く。


(これはもう)


否定できない。


食事が運ばれる。


静かな時間。


だが――


(落ち着く)


昨日までの“意識しすぎる距離”ではない。


(ちゃんと、隣にいる)


「……リリアーナ」


「はい」


「今日から、任務は同行だ」


「常時ですか?」


「可能な限り」


(……ほぼ常時ね)


「拒否権は?」


「ない」


即答。


(でしょうね)


「……構いません」


むしろ。


(その方が楽)


その時。


食堂の扉が開く。


「失礼いたします」


執事が一礼する。


「王宮より、使者が」


(……来た)


空気が、変わる。


アルヴェルトの視線が鋭くなる。


「通せ」


短い命令。


入ってきたのは、王宮の使者。


整った服装。


無機質な表情。


「アルヴェルト公爵様」


一礼。


「陛下より、伝言を預かっております」


(……面倒な流れね)


「申せ」


「先日の結界異常、および魔導師討伐について」


一瞬、視線がこちらに向く。


「功績を確認したいとのことです」


(……ああ)


「特に――」


間。


「リリアーナ様について」


(来たわね)


沈黙。


空気が張り詰める。


「……何だ」


アルヴェルトの声が、低くなる。


「詳細な能力、及び出自の再調査を命じる、と」


(……やっぱり)


「必要ない」


即答。


「ですが、これは陛下の――」


「関係ない」


一言で切る。


(強い)


「……アルヴェルト様」


小さく呼ぶ。


「問題ありません」


静かに言う。


「調べられて困ることは、ありませんから」


(……半分嘘)


「……」


彼がこちらを見る。


「……ある」


低く、はっきりと。


(……ああ)


「お前のことは」


一歩、前に出る。


「俺が管理する」


(……それ)


完全に。


「王宮には渡さない」


空気が、凍る。


使者が一瞬言葉を失う。


「……それは」


「伝えろ」


低い声。


「リリアーナは、俺の管轄だ」


(……)


完全に、宣言。


「……承知しました」


使者が頭を下げる。


だが――


(納得はしてない)


去っていく背中。


沈黙。


「……面倒なことになりましたね」


軽く言う。


「問題ない」


即答。


「全部、排除する」


(……怖いわね)


「……アルヴェルト様」


「何だ」


「私、そこまで守られる価値ありますか?」


少しだけ、試す。


「ある」


即答。


「理由は?」


一瞬の沈黙。


「……俺が決めた」


(……それ)


一番、強い答え。


「……そうですか」


小さく笑う。


(なら)


(もう、任せるしかないわね)


「では」


一歩、近づく。


「守ってください」


一瞬。


彼の目が、わずかに細められる。


「……当然だ」


その一言で、十分だった。

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