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追放令嬢の私、規格外錬金術で国家認定“危険個体”にされたけど、公爵様が全力で囲って溺愛してきます  作者: 慈架太子


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第11話 それは告白ですか?――いいえ、まだ違う

第11話「言葉の一歩手前」


目を覚ましたとき、朝の光が差し込んでいた。


(……軽い)


体が、嘘みたいに楽だ。


昨日までの重さが、きれいに消えている。


(回復してる……それも完全に)


ゆっくりと身体を起こす。


――その瞬間。


「起きたか」


すぐ隣から声がした。


(近い)


視線を向けると、アルヴェルトがいた。


椅子に座ったまま、こちらを見ている。


(……まだいるのね)


「おはようございます」


「……ああ」


短い返答。


だが、その目はしっかりとこちらを確認している。


(状態チェック)


「もう問題ないな」


「ええ、完全に」


軽く手を動かして見せる。


「魔力の流れも正常です」


「……そうか」


わずかに、肩の力が抜ける。


(分かりやすい)


「ご心配をおかけしました」


「……」


一瞬の沈黙。


「……二度とするな」


低い声。


(強い)


「努力します」


「それでは足りない」


(はいはい)


思わず、小さく笑う。


ベッドから降りる。


ふらつきは、ない。


そのまま一歩踏み出した瞬間――


ぐい、と腕を引かれる。


「……?」


「確認だ」


(また?)


そのまま、距離が詰まる。


ほぼ正面。


「本当に問題ないな」


「ええ」


「……」


数秒、見つめられる。


(近い)


「……問題ないようだな」


ようやく手が離れる。


(長い)


「部屋、ありがとうございました」


「構わん」


「一晩中付き添っていただいたと聞きました」


「……」


ほんの一瞬、沈黙。


「大したことではない」


(大したことよ)


「普通はしませんよ」


「普通ではない」


即答。


(でしょうね)


「では、何故ですか?」


少しだけ、踏み込む。


すると――


視線が、止まる。


(……来る?)


「……必要だったからだ」


(まだ逃げる)


「戦力として?」


「違う」


即座に否定。


(早い)


「……リリアーナ」


名前を呼ばれる。


少し低い声。


(珍しいトーン)


「はい」


「お前は」


言葉が、止まる。


(また)


少しだけ、近づく。


「何でしょう?」


逃がさないように。


その距離で。


すると――


「……放っておけない」


ぽつりと落ちる。


(……それ)


かなり、重い。


「それは、責任ですか?」


静かに聞く。


「違う」


間を置かずに返る。


(即答ね)


「義務でもない」


(じゃあ)


「……なら?」


ほんの少しだけ、声を落とす。


「……」


沈黙。


長い沈黙。


(……)


その間に、心臓がうるさくなる。


(これはまずい)


「……分からん」


ようやく出た言葉。


(逃げた、けど)


完全には逃げてない。


「……そうですか」


小さく頷く。


それ以上は追わない。


(今はこれで十分)


部屋を出る。


廊下に出た瞬間――


視線が集まる。


(……やっぱり)


使用人たち、騎士たち。


全員がこちらを見る。


そして――


アルヴェルトと、私を。


(完全にバレてる)


「……アルヴェルト様」


「何だ」


「見られています」


「問題ない」


即答。


(強い)


そのまま歩く。


自然と、距離が近い。


(もう意識してないわね)


すると――


前からルークが来た。


「リリアーナ様!体調は――」


その瞬間。


アルヴェルトが一歩前に出る。


完全に、遮る形。


「問題ない」


先に答える。


(……遮断早い)


「そ、そうですか……」


ルークが少し戸惑う。


「ではまた後で――」


「必要ない」


即答。


(容赦ない)


ルークが去った後。


「……徹底してますね」


「当然だ」


「交流の余地は?」


「不要だ」


(完全排除ね)


「……アルヴェルト様」


「何だ」


「少しだけ」


横を見ずに言う。


「嬉しいです」


「……何がだ」


「秘密です」


それ以上は言わない。


けれど――


彼の歩幅が、ほんの少し乱れる。


(やっぱり)


そのまま、歩く。


静かな廊下。


並ぶ距離。


(……近い)


昨日よりも。


確実に。


「……リリアーナ」


「はい」


「無理はするな」


静かな声。


(またそれ)


でも――


今度は違う。


(優しい)


「……はい」


素直に頷く。


そして、ふと。


「……アルヴェルト様」


「何だ」


「もし私がまた倒れたら」


少しだけ、間を置く。


「また、看病していただけますか?」


半分冗談。


半分、本音。


沈黙。


数秒。


「……ああ」


短い返答。


だが――


迷いはない。


(……それで十分)


小さく、息を吐く。


(これはもう)


時間の問題だ。

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