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京の守護から解放された最強おっさん陰陽師、式神や弟子と共に旅をする。~異世界で【陰陽術】は常識の範囲外~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第3話 おっさん陰陽師、異世界の街へゆく


「どうやら目立ちすぎているようだな。ビャク、また今度呼び出す」


『承知しました。いつでもお呼びください、我が主』


『ビャク、またね~!』


「「「おおおお~!」」」


 式神であるビャクを還すと周囲にいた者たちが驚愕の声を上げる。


 道中レイラから聞いた話によると陰陽術――この地では魔法というらしいのだが、それを使える者は少ないようだ。そしてその中でも式神を扱う者は召喚術師と呼ばれ、さらに数は少なくなるらしい。


 それとは別に魔物を扱う者は魔物使いと呼ばれるらしい。確かに陰陽師の中には式神ではなく妖を扱う者もいた。とはいえ妖は実体を持たぬはずなのだが、魔物とやらには実体があるし、微妙に異なるものなのかもしれぬ。


 それにしても、ここにいる者はそれぞれが異なる容姿をしており、京の都では見かけない服を着ている。我は見たことがないが、海を越えた先には唐と呼ばれる別の国があるらしい。そこに住む者たちの容姿は日の本の者とは少し異なると聞いた。もしかすると我は日の本ではない場所へ神隠しにあったのかもしれぬ。だがその割にはレイラの言葉は通じるし、まだ状況がよく掴めぬな。




「それでは次の者」


 周囲の者の視線に晒されつつも、ミニカムの街へ入るための列へ並び、ようやく我らの番が来た。レイラの話では街へ入るための銭は不要だが、検査を受けなければならないらしい。京の都でも羅生門で検非違使たちが検査を行っていたし、それと同様のものであろう。


「なっ、妖だと!?」


『ご主人、でも妖気は感じられないよ』


「……むっ、確かに」


 案内の者に連れられて、門の手前にある一室へ連れていかれたのだが、そこで我は目を見開いた。部屋の中には獣の耳と尻尾が生えた半妖の者がいた。


 思わず懐に入れていた霊符を取り出し戦闘態勢をとるが、スーの言う通りこの者から妖気は感じられない。


「おいおい、いきなりなんだよ! というか、その喋る魔物はいったい……」


「バルムおじちゃん、ヤコウおじちゃんは怪しい人じゃないよ! 召喚術師さんで、私がゴブリンに襲われていたところを助けてくれたの!」


「レイラか。召喚術師とは珍しいな。門の外が騒がしかったのはそのせいか」


 半妖の男が剣を抜こうとし、周りにいた者も我へ槍を向けようとしたところにレイラが割って入る。どうやらこの者と顔見知りらしい。男たちが手に掛けていた武器から手を離す。


「おっさんは獣人を見るのは初めてか? 街の中には俺みたいな獣人だけでなく、いろんな種族がいるけれど本当に大丈夫かよ?」


「……失礼した。我のいた場所では貴殿のような者はいなかったので驚いてしまった。改めてお詫び申し上げる」


「あ、ああ。そういうやつもいるから大丈夫だ。別に武器を向けたわけじゃねえんだから、あんまり気にすんな」


 どうやら霊符は武器として見られなかったようだ。そしてバルム殿は半妖にしか見えない外見であるが、この地では他にもそういった外見の者がいるらしい。


「お心遣い感謝する。ところでバルム殿は京の都という街、あるいは日の本という国がどこにあるか知らぬだろうか?」


「京の都に日の本……そんな街や国の名は聞いたことねえな。それにおっさんが着ている服も初めて見る。お前たちは知っているか?」


「いえ、私は知りません」


「俺も知らねえっす」


「……承知した」


 バルム殿も他の検非違使たちも知らないようだ。我はとんでもなく離れた場所へと神隠しにあったのかもしれぬ。だが日の本の言葉を話しているし、ここは現世(うつしよ)ではないのだろうか?


「レイラはまたひとりで森へ出掛けたのか。怖い魔物もいるんだし、無茶すんな」


「ご、ごめんなさい……」


「わかりゃあいい。……食堂で余った野菜の切れ端をもらっておいたから、あとで持っていけ。他のやつには言うんじゃねえぞ」


「うん! バルムおじちゃん、いつもありがとう!」


 ふむ、厳しく言いつつもこの者はレイラのことを心配しているようだ。最初は半妖かと思ってしまったが、悪い者ではないようだな。


 そのあと、バルム殿から水晶に手をかざすように言われてそれに従い、問題ないと言われて通行を許可された。


 あの水晶は悪しき者を判別する能力が備わっているらしい。あれほど大きくて透明な水晶は初めて見たし、そのような能力を持った道具も初めて知った。京の都であれほど巨大な水晶があれば屋敷のひとつでも立ちそうな気がする。




「なっ、なんと見事な都だ!」


『ご主人、あっちの建物なんて3階建てだよ! それに見たことない物がたくさんあるよ!』


「うむ。多くの建物が2階建てで、装飾も京のものとは異なるな。それにバルム殿の言う通り、様々な者がおるぞ!」


 歴史ある京の都の美しく趣のある街並みと比べるといささか風情はないが、2階以上の建物ばかりが立ち並び、見たことのない物が山ほどある。そしてバルム殿の言う通り、獣の耳や尻尾が生えている者、背が低く髭だらけの者なども多い。


「レイラ、この街はこの国の中心地なのか?」


「ううん。国の中心地は王都って場所で、この街よりもずっと大きいらしいよ」


「なんと、これは驚いた……」


 この街並みですら国の中心地ではないようだ。この国の中心地はどれほどの街なのだろうな。


『それにしてもご主人、これからどうするの?』


「ふ~む、どうしたものか。銭がないとなにも買えぬからな」


 我が目覚めた時、我の懐には銭も入っていたのだが、バルム殿に聞いたところ、ここで和同開珎は使えぬようだ。


 銭がなければ宿に泊まることも食事をとることもできぬ。


「えっと、ヤコウおじちゃん、スーちゃん。本当に何もないところだけれど、この角ウサギを料理することくらいはできるし、レイラのおうちに来ない?」


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