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京の守護から解放された最強おっさん陰陽師、式神や弟子と共に旅をする。~異世界で【陰陽術】は常識の範囲外~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第24話 おっさん陰陽師、驚く


『どうしたの、ご主人? 周りに異常はないみたいだけど』


 スーが辺りを見回すが、周囲には霊符による結界を張っており魔物は近寄ってこられない。そして我が気になったのは魔物ではない。


「ご、ごめんなさい! レイラがなにかやっちゃったのかな……」


「そうではない。いや、ある意味ではそうなのかもしれぬが」


 我が気になったのは今レイラが筆で書いた霊符のうちの1枚だ。それに気付いたレイラが謝ってくるが、霊符を駄目にしたとかいうことではない。


「レイラ、この霊符を手に持ち、先ほど瞑想していた時と同じ姿勢をとり、今度は火を思い浮かべながらこの霊符に向かって力を巡らせるように意識してみてくれ」


「う、うん」


 今我が書いた霊符をレイラに渡し、今度は霊符を持ちながら瞑想を行ってもらう。この霊符は火の要素を持った霊符で、先ほどレイラに書き写してもらった霊符よりも単純な構造をしており、当然ながら完成度が段違いに高い。


 我の言う通り、先ほどと同じ姿勢をとり、目を閉じるレイラ。


「よし、もういいだろう。その霊符を見せてくれ」


「はい」


 少ししてからレイラが持っていた霊符を受け取る。そしてその霊符を発動させると、目の前に小さな火が現れた。


「……やはりこの霊符には五行力が込められていた。レイラ、そなたは陰陽術を使えるようだぞ」


「本当!」


 本来書いたばかりの霊符だけではなんの力もない。そこに五行力を込め、霊符を発動させることによってその効力を得ることができる。この霊符が発動したということはレイラが五行力を霊符に込められた証だ。


『えっ!? でもご主人、普通は五行力を感じ取るだけでも数日はかかるんじゃないの?』


「うむ。どんなに才能がある者でも数日は要するはずだ」


 我の場合は弓月家という陰陽師の血筋に恵まれ、才能があると師に褒められたのだが、それでも初めて霊符に五行力を込められるまでに3日かかった。少なくともたった1日、それもこれだけの短時間でそれができる者など聞いたことがない。


「レイラ、霊符をこのように持ち、この霊符より火が現れるように想像してみてくれ。先ほどは体内を循環するように意識していたと思うが、今度はこの霊符から外へ開放するように想像するといい。想像するだけでなく、いでよ火、炎よ顕現せよ、など声を出してみるのもいいだろう」


 五行力を注ぎ込んでからレイラに霊符を渡す。本来であれば霊符を発動させるためには霊符自体に書き込まれた文字の意味を理解する必要があるが、この霊符は火を出すだけの簡単な構造だけなので、才のある者ならばそれだけで霊符を発動させることが可能なはずだ。


「う、うん、やってみる。……火さん、出て!」


『うわっ、本当に出た!』


「うむ。ちゃんと霊符が発動しているぞ」


「び、びっくりしたあ……」


 レイラが言葉を発すると同時に霊符の力が発動し、レイラの目の前に火の塊が現れてそのまま消えていく。


 火は一瞬で消えてしまったが、初めてにもかかわらずレイラは霊符を発動させることに成功した。しかも我が予想していたよりもその火はとても大きく、手の平ほどの大きさがあった。


「レイラ、そなたには陰陽術の才能がある。それも我以上の才能があるぞ!」


「ほ、本当に……!?」


「ああ、間違いない。まさかたった1日で霊符を発動させることまでできるとは我も思ってもいなかった。これは本当にすごいことなのだぞ」


 このような結果になるとは思ってもいなかった。他の適正も見極めなければならぬが、少なくともレイラに陰陽術の才能があることだけは断言できる。


『こっちの世の人も陰陽術を使えるんだね。もしかしてみんな陰陽術の才能があったりするのかな?』


「……それはわからぬ。レイラに特別な才があるのかもしれぬし、他の者も同様の才を持っている可能性もある」


 レイラのおかげでこの世の者も陰陽術を使えることがわかったが、これほどの才能を持つレイラが特別なのかはわからない。他の者に試してもらえばわかるかもしれぬが、陰陽術をむやみやたらと広げるのは避けたい。先日の悪党のようにこの世にも陰陽術を悪用する者は多くいそうだ。


「レイラは陰陽術を見るのは本当に初めてなのか? ……レイラの両親は陰陽術を使えたり、魔法を使えたりはしなかったか?」


「初めてだよ。えっとね、死んじゃったお母さんも陰陽術や魔法は使えなかったよ。お父さんはレイラが生まれてすぐに死んじゃって話したことがないからわからないかな」


「……そうか」


 初めてレイラの両親のことを聞いてみたが、やはり両親は共に亡くなっていたようだ。捨てられたわけでないのはまだマシなほうなのかもしれぬ。血は関係ないということはやはりレイラの才なのだろう。


 ……我がこの世に来て初めて出会ったレイラにこれほどの才があるとはこれも何かの縁か、あるいは仏の思し召しなのかもしれぬ。


「うう……」


「すまぬ、辛いことを思い出させたな」


 気付くとレイラが泣いていた。血筋を聞くためとはいえ、幼きレイラに辛いことを思い出させてしまったか。


「違うの! レイラは本当にすごい才能があるんだよね? ずっとなんの役にも立てなかったレイラでも、これからはおじちゃんみたいに誰かの役に立てるのかな?」


「……ああ、もちろんである。これでそなたは本当の意味でも我の弟子だ。これからも頑張るのだぞ」


「うん!」


『へへ~よかったね、レイラちゃん』


 大きな声で返事をしながら、我のもとへ抱き着いてくるレイラ。我はレイラの頭を撫でてやり、スーもレイラへと寄りそった。


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