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京の守護から解放された最強おっさん陰陽師、式神や弟子と共に旅をする。~異世界で【陰陽術】は常識の範囲外~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第20話 おっさん陰陽師、街を出る


「……むっ、朝か」


 明るい光が宿の部屋の中へ入ってきて目が覚める。


「むにゃむにゃ」


 身体を起こそうとすると、我の右側に違和感があった。ふと横を見ると、我の右腕にレイラが抱き着いている。


 そういえば昨夜は一緒のベッドで寝ていたのだったな。


『く~く~』


 その奥では朱雀のスーが気持ちよさそうに眠っている。童の寝顔やスーの寝顔はとても癒される。


 ふむ、朝からなんとも微笑ましいものだな。本当は2人が起きるまで寝かせてやりたいところだが、今日はこの街から移動するゆえ、2人を起こしては早めの朝食にするとしよう。




「おおっ、これはなんとも便利であるな!」


「すっごいね!」


 宿で朝食をとり、食料などを購入するために市場へとやってきている。


 購入した食材や野営のための道具を昨日ガドン殿から譲り受けたマジックバッグとやらへ入れると、入れた物が瞬時に袋の中へ吸い込まれた。本来であれば1尺(30センチメートル)ほどの布製の袋に入るわけがなく、重さも消えているのだから不思議なものだな。


 取り出す時は袋の中に手を入れて取り出したい物を頭の中に浮かべると取り出せる。この道具も魔法を使っているらしいが、いったいどのような仕組みなのか気になる。昨日の賊の中には魔法を使っていた者もいたが、あれにも驚いたものだ。


 陰陽術は霊符や式神などを介してでなければ火や水などを直接操ることはできぬが、あの魔法とやらは直接それらを操っていた。威力はとてもお粗末なものだったが、あれが魔法とやらのすべてではないだろう。次の街へ移動して落ち着いたら、魔法について詳しく聞いてみてもよいかもしれぬ。


「これで必要な物は揃ったか」


『うん、いいんじゃないかな』


 食料、野営道具、衣服、食器や調理器具など、最低限必要な物は揃ったはずだ。


 この世には馬に似ている足が六本あるヘクサホースという魔物が別の街へ人や荷を運ぶ馬車というものがあるらしい。京の都には牛車があったが、それよりも大きくて多くの者を運べるようだ。それに乗ってもよかったのだが、まずはこの世をより多く見てみたいこともあって、目指す街まではビャクに乗って移動することとなった。


 そのため、食料だけでなく我らが道中で休むための道具なども購入した。以前バルム殿に紹介してもらった仕立て屋で頼んでいた我の服もすでに受け取ってある。服の材質は異なるが、それなりに着心地はよく、外見はほとんど変わらないのでありがたい。レイラの服も古着ではあるが新たに購入しておいた。


「レイラも他に必要な物はないか? これから行動を共にすることだし、我らの分の食事も作ってもらうのだから遠慮はいらぬぞ」


「うん、新しい食器や調味料なんかも買ってくれたから大丈夫だよ!」


「そうか」


 本当に最低限という感じだが、京の都の外をまともに旅したことがない我にはわからぬので、店の者とレイラが言うことを信じるか。


 これで準備は整った。冒険者ギルドのダンケ殿とガドン殿には昨日挨拶をしたことだし、最後にバルム殿へ挨拶をしてこの街を出るとしよう。




「ヤコウ、昨日は本当にありがとう!」


 街の門へ行くと、バルム殿がいた。彼は我らの方へ寄ってくると、深々と頭を下げてきた。


「気にする必要はない。サムル殿や童たちが無事でよかったぞ」


「……やっぱりもう街を出るのか?」


「うむ。この国にはまだ来たばかりであるし、この街だけでなく他の街も見てみたいのだ」


『次は海ってやつがある場所を目指すんだよ!』


 バルム殿は例の悪党どもから遠ざけるために我らが街を出るとでも思っているのだろう。確かにその理由もあるが、もとよりこの街を出るつもりであった。


 スーの言う通り、次は海というものがある街を目指して進むつもりである。


「そうか……。もしかしてレイラもヤコウと一緒に行くのか?」


「うん! おじちゃんの弟子になるんだ!」


「弟子!? おおっ、それは本当によかったな!」


 バルム殿はレイラが我と共にゆくことを知って嬉しそうにしている。これまでレイラのことを随分と気にかけてくれていたようだしな。


「バルムおじちゃん、今まで本当にありがとう!」


「俺の方こそ、息子を助けてくれて本当にありがとうな! ぜひまたこの街に来てくれ、その時は家内とサムルと一緒に歓迎する」


「うむ、その時はよろしく頼む」


「うん! バルムおじちゃん、またね!」


『またね~!』


 バルム殿やケイン殿、他の者に見送られてミニカムの街を出発する。


 短い間ではあるがこの街の者には世話になった。また機会があればこの街へ訪れてみるとしよう。


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