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京の守護から解放された最強おっさん陰陽師、式神や弟子と共に旅をする。~異世界で【陰陽術】は常識の範囲外~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第15話 おっさん陰陽師、暴れる


 顎に無精ひげを生やし、短剣を腰に携えた男。間違いなく冒険者ギルドで絡んできた男のひとりである。おそらくもうひとりの男もこの宵闇の黒鴉団の一員なのだろう。


 街で複数人の人さらいが起きたと聞いた際、間違いなく街の内部に協力者のいることが考えられた。人をさらうこと自体は可能かもしれないが、それを街の外へ運び出すためには協力者が必要である。


 この者たちだけでなく、門を守る衛兵の中にもこいつらの協力者がいる可能性は高い。京の都で人買いによる人さらいが起きた時も同じように役人の中に協力者がいた。


「おい、このおかしな格好をしたやつを知っているのか?」


「ああ。この歳で冒険者になり始めたやつだが、召喚術師でもあるから気をつけろ。そこにいる変な魔物の他にも小さなトリと大きなネコの魔物を召喚できるぞ!」


 ……我のことをよく知っている。


 もしかするとあの時我に絡んできたのは人の言葉を解するスーをさらう獲物として見定めていたのかもしれない。その後スーやビャクの話を聞き、我がこちらの世で言う召喚術師で、実態のある魔物ではないことがわかり諦めたといったところか。


 ちなみにビャクはネコではなくトラなのだが、この世にトラはいないのだろうか?


「ガキどもを連れ戻しに来たのか? ……その割にこいつ以外の姿は見えねえぞ」


「たまたまこの場所に迷いこんだだけかもしれねえが、すでにこのアジトの場所は街の連中にバレていると考えた方が良さそうだ。親分に伝えてさっさとずらかろうぜ!」


 我を警戒して武器を抜く悪党ども。やはりこやつらの逃げ足だけは速そうだ。


「令!」


「なっ、足が!?」


 もちろんそれを黙って見ているわけもなく、男たちの足を影縛の霊符で縛る。仲間を呼びに行くのは別に構わぬが、こやつらを逃がすつもりはない。


「ゲン、玄冥氷牢(げんめいひょうろう)!」


『いくわよ~!』


「なにっ、なんじゃこりゃあ!?」


「くっ、動けねえ!」


 動きを縛った三人の足元から急激な冷気が発生し、足元からその体を凍らせていく。


 ゲンは水を司る守護神で、水を操るだけでなく、水の温度を自在に変化させることも可能だ。そのままゆっくりと首元まで凍らせていく。


「殺しはしない。他に貴様らの拠点があるか聞きたいからな。まあ、手足が腐り落ちるかもしれぬが、それも自業自得である」


『よかったわね〜』


「なっ! おいっ、ちょっと待て!」


「さ、寒い……。頼む、助けてくれ!」


 命乞いをする3人を置いて、ゲンと共に拠点へと進む。童をさらうような畜生どもはこのまま殺しても構わぬのだが、他に拠点があったり攫われた童がいるとまずい。後ほど尋問をして吐かせるつもりだが、それは検非違使である街の者に任せるとしよう。




「……おいおい、まさかたったひとりで乗り込んできたのか?」


「馬鹿かこいつ……。おかしな格好をしやがって!」


 我がさらに進んでいくと、拠点より宵闇の黒鴉団の輩が現れて我を取り囲む。数は4~50といったところか。確かに野盗にしては数が多い。奥の方にはさらわれた童たちが閉じ込められている檻もこの目で確認できた。


 それにしても先ほどから人の服をおかしいとばかり言ってくるな……。仕立て屋の者にも首を傾げられたし、この世でこの狩衣はそれほどおかしな服なのだろうか? この世の服も着てみたが、我にとってはこちらの方が着心地は良いのだが……。


「騎士団のやつには見えねえな。見張りのやつらは戻って来ねえが、こんな弱そうな男にやられたのかよ?」


 他の者より一回り大柄な男が我の前に出てくる。頬に刀傷があり、その右手には巨大な斧を持っていた。この者がこの集団の頭領なのかもしれない。


「無駄だと思うが、一応勧告はしておこう。童たちを解放し、武器を捨て投降すればその命まではとらぬぞ」


「だあっはっは! 馬鹿かお前は? まあ、この状況でそんな口を叩ける度胸だけは褒めてやるよ。そのちっこい魔物が切り札なのかもしれねえが、この人数の前には無駄なこった」


 投降するつもりはないらしい。まあ、わかりきっていたことだがな。我の実力も知らぬというのに愚かなものだ。


 こちらも童たちをさらった悪党どもをただ拘束するだけのつもりはない。二度と同じようなことを繰り返させぬよう、その身体に恐怖をしっかりと刻み込む。


「グズグズしていると街の騎士団たちがやってくるかもしれねえ。こいつをぶっ殺して、とっととずらかるぜ! いけ、野郎ども!」


「ファイヤーボール!」


「ウインドランス!」


 我を囲んだ者の目の前から炎の球体や風の刃などが発せられる。そして四方から矢や槍などが一斉に投擲された。


「ゲン、蒼水方陣(そうすいほうじん)!」


『任せて!』


 しかしその攻撃のすべては我とゲンを中心に囲った四角形の水壁によって阻まれる。


「なっ、なんだと!?」


「ほう、これが魔法とやらか。実際に目にするのは初めてであるな」


『式神や霊符も使わずにすごいわねえ〜。確かに陰陽術とは少し違うみたい』


 五行力を使用した陰陽術とは根本的に仕組みが異なるようだ。どういう仕組みなのかは少し気になるところだが、魔法とやらの威力はそれほど大したものではないらしい。


 なるほど、人数の差に加えてこれほどの不可思議な力が使えるのならば、こやつらが驕り、多くの検非違使たちを集めなければ敵わぬ理由もわかる。


「て、てめえは魔法使いだったのか! おい、ガキどもを前に出せ!」


「お、親分! ガキどもの檻にも水の壁が!」


「なんだと!」


 頭領が童たちを人質として前に出そうとするが、すでに童たちが捕らえられている檻もゲンの蒼水方陣によって保護してある。


 どの世でも悪党どもが取ろうとする行動は変わらないものであるな。


「貴様らのような畜生どもは決して逃さぬ! いでよ、青龍! 急急如来律令!」


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