ミッドシップ 侵攻3
会話ができるヴァンパイア。
今まで信じていたことが、根底から崩れた。
ヴァンパイアってなんだ?
僕は何を殺してきた?
言葉が通じなければ殺していいのか?
考えると苦しくなることが止まらない。
心が考えることを拒否している。
思考は表面的なところをぐるぐるまわるだけ。
あの時の僕は心が壊れていたに違いない。
普通なら、撤退するくらいの状況なのに、その判断すらできなかった。
僕は放たれた矢のように、なんのコントロール効かず、目的地に進み続けた。
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僕は敵との遭遇を避けるために、頻繁に魔法を使いながら進んでいった。
それなのに、何故か、ヴァンパイアと遭遇することがある。
ヴァンパイアを倒しながら、ミッドシップ神国の王都近くまで来たとき、
ヴァンパイアの中に、サワーシップの調査団の制服を着たヴァンパイアがいた。
しかも、ヴァンパイアなのに、光魔法や聖魔性を使った。
何故?ヴァンパイアは、闇に生きる、邪悪な存在なのに。
もしかして、まだ人間の部分が生き残っている?
調査団が全滅したというのが、間違った判断?
今までの戦いで、やってしまったかも、という後悔。
逆に、もしかしたら生存者がいるかも知れないという期待。
僕は、調査団の生き残りを期待した。
ドリーの調査先はミッドシップ王都の教会調査だった。
ドリーは、中央教会の司祭ルミナス・ライトハウスの配下として、ミッドシップ国の教会への調査に戦士、魔法使い、探索者等、分隊レベルの10名ほどで派遣されている。
ミッドシップの教会と交流のあった、ルミナス司祭の班だ。
戦いより、話し合いが期待できる。
きっと、ドリーは生きている。
僕の考えは支配された。
僕は、極大魔法でミッドシップ神国の近くから、魔法を使わずに、王都内に潜入した。
ビクビクしながら、隠れながら、進んだ。
街中を歩いているヴァンパイアから身を隠し、教会に到着した。
教会内に侵入していくと、両手を広げた、美しいサドミストの石像があった。
その時、背後から複数の足音が聞こえた。
急いで物陰に隠れると、声が聞こえてきた。
服装からみると、サワーシップの指揮官が、ミッドシップの国王と話している。
どちらも、どう見てもヴァンパイア化している。
「サワーシップの魔法使いが、王都近くに潜んでいる。どうする?」
「王よ、相手の魔法使いの事はわかっています。
こちらには、やつの幼馴染がおります。これを利用して、活路を開きましょう。」
幼馴染・・・ドリーだ。
ドリーは生きている!
そして、彼らは、僕がまだ、王都に潜入していることに気付いていない。
ドリーはどこだ?
僕は背負えるだけ食料を背負って、教会の尖塔の上に入り込み、高い場所から王都全体を観察することにした。
魔法を発動させれば、バンパイヤを倒すことは簡単だろう。
でも、全てを失うことになる。。。




