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ミッドシップ 侵攻2

僕は、ミッドシップ神国中枢に向かってただ1人で侵攻を続けた。


決められた場所で極大魔法を使う。

結果のことは考えない。


誰かが死ぬとか、意識しない。


これは、命令だから、魔法を使っているだけだ。

僕の責任じゃない。


命令書に書いてあるとおり。

僕は正しい事をしている。


僕は思考を放棄することで、責任も放棄できる、と自分に言い聞かせた。


僕は現実を逃避するために、ひたすら剣を振った。

朝起きて振る。休憩中に振る。寝る前に振る。


近衛騎士団から僕に剣技を教えに来てくれていた、筋肉ダルマ先生の指導を思い出しながら、ひたすら振り続けた。

そういえば、剣の形が決まらない時は、ポーズをとるんだっけ?


このポーズと剣の素振りだけが、僕が現実から逃避できる時間になり、没頭していった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ミッドシップ神国の王都に近づいたところで、岩壁に文字が彫られているのを見つけた。

”この先の洞窟に生存者あり→”

急いで削ったのか、足元には削った後の、石片がおちている。


ここに到着する前の地点で、発動させた魔法でこのあたりも、巻き込んだはずだが、、、

洞窟の方を見ると、3弾の岩の段差を下ったところに、横穴の洞窟がある。


もしかして、横穴の前の段差が、暴風を防いだのか?

だから、洞窟の中で生き残れた?

僕は人に会いたいという欲求を抑えることができなかった。


荷車をデポして、段差を降りて行った。

洞窟の入口に到着した。

「誰か居ますかー!」


洞窟の奥の方に松明の明かりが見える。

明かりは少しづつ近づいてきて、女性の声が響いた。


「あなた、人間?一人?」

「僕一人です。人間ですよ。助けに来ました。」


松明を前にかざして近づいてくるので、顔はよく見えないが、3人ほどいるようだ。

「うちら、助かるんね。」

「安心してください。何も恐れることはありませんよ。」


松明はどんどん近づいてくる。

「ほんま、怖かってん。おっきい炎が、どんどん近づいてきて、ミッドシップ全体が燃えて、無うなってしまうか思て、、、ほんまに、あんた一人でやらはったん?」


喋っている言葉がなまっていて、理解が難しくなってきた。



「怯えさせていたんのは、ごめんね。僕一人で、やってきました。」

「ほんま、恐ろしい人や。」

顔全体は見えないが、口角があがったのが見えた。


洞窟の入口に近づいてきたときに、相手の顔がようやく見えた。

その顔は、ヴァンパイアだ!


いきなり、洞窟の前で対峙する形になった。

それよりも、ヴァンパイアが言葉を話すなんて。


そんなことより、3人の薙刀を持ったヴァンパイアに囲まれた。

ピンチだ。


僕は剣を構えながら移動していくが、3人は、僕の移動に追従するように、移動しながら包囲している。

隙がない。


「あんたは、この国を焼き尽くしてる!なんで、こんなひどいことするん!」

「僕だって、好きでやってるわけじゃない!」


なんとか、荷車までもどらなくては。

段差3段登っていかなくては。

でも、僕は剣を持っていても素振りしかしたことがない。。。


「ドスねぇさん、こんなやつ、聞くだけ無駄や!」


3人は少し間合いをとった。

「ドスエ!イヤドスエ!一気に決めるで!」


3人が一直線に並んだ。

偏西!風力撃!!!!


つむじ風をまとって、ドスが先頭になって突っ込んでくる。

ドスの水平に振る薙刀を飛び越えてかわすと、

ドスの背後から、ドスエが全力で垂直で斬りつけてくる。

剣で払いながら、こちらから一気に突っ込んだ!

すると、イヤドスエが強烈に突いてきた。

僕は、突きを交わして、イヤドスエの肩を踏み台にして一気にジャンプした。


僕の身体は、宙を舞い、荷車のところまで舞い上がった。


「我が主神、サドミスト!孤独に耐えきれずに、人との関わりを求め、罠にかかるような、愚かな下僕に、慈悲を与え給え!フェニックス!」


フェニックスたちが乱舞し、敵を、横穴を、岩を粉砕していく。


また、僕は荒野に唯一人となった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ヴァンパイアって思考もできず、意思疎通もできず、ただ凶暴に人を襲うだけの存在ではなかったのか?


彼女たちは、言葉を話していた。

国土を護りたいという意志もあった。


もしかして、人の心がある?


急に今までの自分の行為が恐ろしくなってきた。



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