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悲しい足跡の怪

 ユウタくんという男の子は、白い仔猫を飼っていました。名前は「ちび」です。

 ある雨降りの日、ちびがいなくなってしまいました。雨は夕方になるともっと強くなって、雷も鳴り始めました。

 帰ってこないちびを心配したユウタは、長靴をはいて傘をさし、レインコートを着て出かけました。

 しばらくして、ユウタは泥のぬかるみのなかに、いまついたばかりの小さな足跡を見つけました。猫の足跡です、ちびかもしれません。

 名前を呼んでみますが、いつものように返事をして駆け寄ってくる、小さな白い体は見当たりません。

「ちび!」

 次にユウタがちびを呼んだとき、ユウタのさしていた傘に、雷が落ちました。ユウタは目の前が真っ暗になって、その場に倒れました。


 ユウタをさがしに来たお父さんとお母さんとは、黒焦げになったユウタと、そのそばでうずくまっている白い仔猫を見つけました。お父さんとお母さんはユウタを病院に運びましたが、ユウタはもう死んでいました。

 家にもどってくると、弱り果てていたちびも、冷たくなっていました。

 お父さんとお母さんとは、両方の命を救えなかったことをとても後悔しました。二人の心の傷は癒えず、ある日とうとう、首をつって心中してしまいました。


 それ以来、誰もいないその家には、たくさんの猫が住み着くようになりました。廊下や床はぼろぼろ、屋根のかわらもはがれています。家の壁は猫がひっかいた傷だらけで、窓も割れています。

 たくさんの猫のなかに一匹だけ、毛がぼさぼさの白い仔猫が混じっているといいます。それは、ちびなのでしょうか、それとも……

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