更衣室
古びた校舎の広々とした更衣室は、運動部の更衣室として使われていた。
誰よりも誰よりも早く来て、誰よりも遅く帰る練習好きの女生徒がいた。
ある時、着替えの時に妙な視線を感じて、彼女は部屋を見回した。扉を開けても、誰もいない。その時は一人で着替えているせいで神経質になっているのだと片付けて、帰った。
ところが、見られている感覚は更衣室を使うたびに一週間後も続き、彼女はもっとよく更衣室を見回してみた。
すると、天井にあいた節穴のひとつから、人の目が見えた。女生徒はもちろん、大声で悲鳴を上げたが、その目はビクともせずにのぞき続けている。声に気づいた顧問の教師が駆けつけて事態を知り、後日、教員たちが協力して更衣室の天井裏に入り込んだ。
するとそこには、確かに男性が横たわり、じっと更衣室を覗いていた。体格の良い男性教師が覚悟をきめて「おい」と怒鳴ったが返事は無い。不審に思って近づいたところ、脆い天井が崩れた。
男が、下の更衣室に落ちた。待機していた教員たちの、尋常ではない叫びが聞こえる。男性教師は急いでおりていき、男をぐいと掴み起こした。ところが、その男は死んでいた。
その後の警察の調べによると、男は死後一週間とみられ、心筋梗塞か何かを起こして、のぞき行為中に急死したらしい。
女生徒は死体にのぞかれ、その視線を感じていたのである。
「更衣室」は“トロといっぱい”から引用、再編集した話です。本格的な怪談話しはじめて衝撃的だった。




