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【第五話 入学式(どうやら遅刻です)】

ーー急げっ!急げっ!急げっ!

只今私は絶賛爆走中である。(とは言ったものの、早くはないのだが。気にしないよね?)

前代未聞の大事件なのだが、なんと入学式が始まっていた。これはまずい。

ほんと、いつの間に皆行ってたんだろ。気付けなかった。まぁ、でも、モブだし、きっと何事もないはず‥、うん。


「っ!はぁ…つい、た…」

ーーここは目立たないように後ろの裏のドアからこっそり行こう。安全第一!

そう思い、ゆっくりと裏のドアにたどり着く。

ーー目立たないよう気をつけて…よし!

ゆっくりとドアを開ける。


__その時だった。ドアがものすごい音を立てて開いたのだ。

『キィーーー』

ーー…やってしまった、気がするのは気のせいかな?

会場全体の視線が一気にドアの方向、すなわちクラーツェの方へと集まる。

ーーな、なんで私の方を見るのぉ!いや、理由はわかってるけど、さぁ?でもこういうときこそ凛々しくいかないと!

私は何事もなかったかのように堂々と席に座ろうとする。のだが、さらなる難題が待ち寄せていた。

ーー席、どこ?

思わず、はぁ、とため息が出てしまう。

すると、奥の方の席で、隣の席が空いていることを目配せで教えてくれようとしている人がいた。

コクリ、と頷くとその子の方へ向かった。


ーーよかった。まさに、救世主だね。

そう思いながらも、チラッとその子の顔を伺う。

ーー…さすが乙女ゲーム。皆美形だよ。

その子は整った顔立ちの、人懐っこそうな男の子だった。今日、美人を見すぎたせいで頭がおかしくなりそうだ。はぁ、とため息が出てしまう。

「ねぇ、君、どうしたの?体調悪かったりしたの?」

横から小声で聞かれた。

「えっ!そんなことは‥」

ーーそんなに体調悪そうに見えてたのか。ため息ついてただけのつもりだったんだけど。でも、心配してくれたし、優しい人で間違いないはず。

「そっかぁ。なら良かった!君、名前は?名簿で僕の隣だったからさ、知っておきたいな。」

やっぱり、初対面の印象は大事なはず!ここで凛々しく、悪役っぽく言葉を返さなくては!

「貴方が、礼儀のある人間ならば、まずは自分の名前を名乗るべきなのではなくって?」

ーーどうだ!完璧だねっ?

すると相手は驚いたように、しかし、納得したように頷くと名乗り始めた。

「そうだったね。じゃあ僕から!僕は…」

『静粛に!』

彼の声をかき消すように何処からか声が聞こえたため、私達の会話は一旦後回しとなった。

ーーそういえば、あとで感謝しないとな。


『では、これより新入生紹介、及び魔法属性監査を行う。』

ーーなにそれ!?これは、魔法が使えちゃう系の雰囲気だよね?

  すっごく、楽しみ!というか、ヴェラージェ様、なんの属性なんだろう。

私は、思ってもいなかった魔法というゲームならではのワードに心を奮わせる。

期待と喜びに胸が一杯になる。

『それぞれのクラスごとに呼んでいく。まずはA組からだ。リカ・ヒルゼ・レイシタ。』

「はい」

アナウンスが入った。名前が3つ区切られていることからして、王族の血をひく王子だろう。

やっぱり美形だ。


ちなみに、この世界での属性は主に7つある。火・風・雷・氷・水・光・闇 だ。普通の人は1個、多くて2個を得る。

リカは、火・雷・水・風だった。4つの属性を持つなんてさすが王族だ。


『ヴェラージェ・ミセリア』

ーーヴェラージェ様だ!ヴェラージェ様をこの目に収めようと必死に見つめる。幸い席は遠いからバレないだろう。

『ミセリア嬢は、火・氷の属性を持っているようだ。きっと君のこれからの力になるだろう。』

2属性持ちか、それも効果が逆のものを。かなり珍しい。使いこなせるかは本人の能力と努力次第と言ったところだ。

ーーすごい!きっと、ヴェラージェ様なら使いこなせるんだろうな…きっとカッコいいだろうし、今から楽しみっ!

私が一人で興奮していると次から次へと人が入れ替わり鑑定されていった。

ちなみに、アイレシカは光と水だった。光は珍しい属性らしく、鑑定を行った人、他の生徒達は驚いていた。きっと平民の出だが希少な属性を強化するために入学を許可したのだろう。校長は驚いた様子を見せてはいない、つまりはそういうことだろう。


ちなみにヴェラージェ様の興奮の余韻で名前はわからなかったが、入学式が始まると教えてくれた人は3つの属性を持っていた。火、雷、水だったはずだ。


『クラーツェ・シセトリト』

「はい!」

声を張り上げて答える。正直、モブではあるが魔法が使えるのは嬉しい。憧れてたし。

悪役令嬢らしく、堂々と歩く。

『ここに手をかざしてください。』

ーー緊張してきた。でもきっと大丈夫なことを願おう。

そっと魔石らしき水晶に手をかざす。


___何も起きない。どうしよう、他の人は何らかの光が出てたのに…

明らかに鑑定してくれた人も驚いている。前代未聞の事態なんだろう。


すると、かすかにだが、水色の光が輝いた。つづいて翡翠の光も輝いた。

『水と、風、ですね。これからの努力次第で多くのことに活かせるでしょう。頑張ってください。』

ーーほぼ無に近いってことか。まぁ、モブキャラだし、あるだけいいはず?でも、こういうゲームって、きっと練習してったら伸びる的なのだし、頑張らないと。


『入学式は終わりとなります。各自で帰宅し、配布された資料を確認してください。』


これにて、入学式はお開きとなった。きっと資料は後で先生にもらえるはずだ。

貰いにいかないと、だな…

予約投稿を予定していたのですが、月を間違えてしまっていて、全く投稿されていませんでした。

すみません。

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