ヴォルパーティンガー その40 お前の名前は、今日から「ラン」なのです!
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素人のつたない作品ですが、これからも楽しんでいただけたら嬉しいです。
『待たせたのですね。
お前の名前を決めたのです。』
リルと白オオカミちゃんが、そろってこっちを向いたのですが、「やっとかー」みたいな顔するんじゃあないのです!
特に白オオカミ!
苦労して悩んで決めたのは、お前のためなのですよ⁈
二匹とも、わたしの不機嫌オーラを感じたのか、焦って近づいてくるのですよ。
わたしの近くに伏せて、キューン、クーンと鼻を鳴らす白オオカミちゃんなのです。
フン! まあいいのです。
寛大なわたしは許してやるのですよ。
伏せている白オオカミちゃんに歩み寄り、額に手を当てるのです。
目をつぶる白オオカミちゃん。
『お前の名前は、今日から「ラン」なのです!』
リルの時と同じく何かが体から抜けていく感覚。
ステータスを見るとMPが200ほど減っているのです。
リルよりも多いのは、ランクがひとつ上だからなのですかね?
まあ今のわたしのMPからすれば、大したことはないのですけど。
名づけられたことで、進化の眠りにつくランなのです。
あっ。
流れで、そのまま名づけてしまったのですが、寝てしまったランをどうするのです?
巣穴はランのサイズでは入れないけど、土魔法で作ればいいのですよね。
ただ、作ったとしても運び入れるのが面倒なのです。
いや、待つのです?
眠るランごと巣穴を構築してしまえばいいのですよね。
いやいや、さらに待つのですよ!
これはチャンスなのです!
土魔法でランを運び入れられる大きさの巣穴を作り、それを人の姿に変化したわたしが抱き上げて運べば、合法的にモフれるのでは⁈
そうと決まれば!
わたしは土魔法で、人が立って歩ける大きさの巣穴を作り上げるのです。
もはや巣穴とは呼べない、洞窟と言っていい大きさなのですね。
むしろ家なのです?
当然、強度も上げて、中にはフカフカベッドも完備。
さて、わたしはおもむろに人の姿に変化するのですよ。
『ランは進化の眠りについているのです。
魔法で巣穴を作ったので、ランを運ぶのですよ。』
言って、ランを抱き上げるのです。
フカァ。
おおう⁈
これは……リルとはまた違った感触なのです!
リルが毛足が短めの高級な天鵞絨だとしたら、ランは毛足がやや長めの高級毛布なのですよ!
これはたまらんのです!
足早に洞窟の中に入り、ベッドにランを寝かせるのです。
そして、その傍らに座り、最初は片手で。
次いで両手で。
最後には全身を使って!
モフる! モフる! モフるのですよ!
心なしかランの眉根が寄っているのですが、気にしないのです!
とどめとばかりにギュウっと抱きしめていると、背後から寒気が…………。
なにごと?
そおっと振り返ると、そこには涙目のリルがいたのです。
『ミラお姉ちゃん!!
ランばっかりずるいの! リルも、もっと撫でて欲しいのよ!』
……くっ。嫉妬とは可愛い奴め!
そこまで言うなら、思う存分撫でてやるのです!
リルに手招きしつつ、言うのです。
『リル、こっちに来るのです。
あなたも好きなだけ撫でてあげるのですよ?』
すると、それはそれは嬉しそうに、わたしの腕の中にダイブしてくるのです。
……ダイブするのはいいのですが、ヴォーパルホーンには気をつけるのですよ?




