ヴォルパーティンガー その38 ……いや、あんた「ワン!」って、なんですか。
ブックマーク登録、星評価、いいね等、ありがとうございます。
m(_ _)m
素人のつたない作品ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
まあ、頭の中とはいえ、白オオカミちゃん、白オオカミちゃんと、いちいち呼ぶのも面倒臭くなっていたので、頃合いだったのですか。
『聞くのです。
わたしたちは、お前をわたしたちの群れに入れてもいいと思っているのですよ。
お前は、群れに入りたいのですか?』
白オオカミちゃんに話しかけると、白オオカミちゃんは、リルのようにキッラキラに目を輝かせて、しっぽもブンブン振りつつ頷いたのです。
……いや、あんた「ワン!」って、なんですか。
犬か?
犬なのですか?
オオカミの誇りはどこにいった⁈
ま、まあ、犬達も元をたどれば狼の子孫なのかもしれないですけど。
……白オオカミちゃんが肯定したので、話を続けるのです。
『分かったのです。
お前をわたしたちの群れに迎え入れるのです。
ですが、群れの一員になる以上、反抗は許さないのです!
それが嫌なら、今すぐここから去るのですよ。』
そう伝えても、動く様子がない白オオカミちゃん。
じぃっと、わたしの目をひたすら見つめているのです。
『いいのですね?
では、お前に名前を与えて従魔の契約を結ぶのです。
……と、その前にわたしの本当の姿を見せておくのですかね。』
言って、わたしは変化を解くのです。
ちなみに今までわたしは、リルと同じヴォーパルバニーになっていたのです。
……いやだって、おそろいがいいって言ってきかないのですよ。
あとは、訓練するにあたって、まったく同じ条件にした方が違いが分かるのですからね?
まあ、ヴォルパーティンガーはかなりレアな魔物らしいし、正体を常に晒して歩く気もないからいいのですけど。
いつものように、金色に光ると痛痒い感覚がわたしを襲うのです。
そして、次の瞬間には、鹿の角、獅子の腕、狼の牙と尾、鷲の翼を持つヴォルパーティンガーになっているわたしなのです。
我が身ながら、相変わらずわけがわからない生物なのですね。
『わたしの種族は、ヴォルパーティンガー。
魔法も使えるし、人の言葉も話せるのですよ。』
翼を広げて軽く体に魔力を流すと、身体超強化の影響で、わたしの体がうっすらと金色に光るのです。
それを見た白オオカミちゃんは、目を丸くして驚いたあと、身を伏せて頭を下げるのですよ。
フフフン?
どうですか?
神々しいのですか?
まあ、実際のところ、わたしは神性を帯びてるはずなので、神々しいのも仕方ないのですけどね!
なんて、自分で得た力ではないのですから、自慢はこのくらいにしておくのです。
それでは、改めて白オオカミちゃんに名前をつけるのです!




