ヴォルパーティンガー その28 うん! ミラお姉ちゃんとずっと一緒なのよ!
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つたない作品ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
『何を当たり前のことを言っているのですか。
わたし達はもう家族なのですから、一緒に居るのは当たり前なのです。』
わたしがそう言うと、リルは(うさぎなりに)ホッとした面持ちで胸を撫で下ろすのです。
『わたしが言っているのは、リルがひとり立ちできるくらいに心も、体も強くなったということなのですよ。
よくここまで頑張ったのです。
これからは二匹で狩りでもしながら、のんびり暮らしたいものですね。』
わたしの言葉を聞いたリルは、嬉しそうに近づいて体を擦りつけてくるのです。
『うん! ミラお姉ちゃんとずっと一緒なのよ!』
ただ……わたしはいずれ、この身を月神に捧げなければいけないのです。
その時、リルはどうなるか分からないのですよ。
一緒について来るのか、それとも別れるのか。
ついて来たとして、婚姻が成立した時、わたしの寿命は無くなるのです。
それは、結局のところリルと別れることを意味するのです。
まあ、寿命があろうが、無かろうが生きている以上、いずれ生別なり死別なりすることに変わりはないのですけどね。
そもそも、わたしはいつ、どこで捧げられるのか、分からないのです。
月神宮で待っていると言われたけど、それがどこかも分からないのですよ。
ルーナ様、そのあたりはどうなっているのですか?
…………こんな時は答えないんか〜い!
絶妙な役立たず感なのです。
仕方ないのです。
あまりやりたくないのですが、人間に接触して情報を集めるしかないのですか。
仮にも神の一柱であるならば、人間の街に神殿くらいはあるはずなのです。
そこで月神の情報を集めて、月神宮の場所や行く手段を考えるのです。
となると、先立つ物は服なのです!
人間の街に行くには、ヴォルパーティンガーの姿では行けないですし、変化しても素っ裸では(別の意味で)もっといけないのです。
どっかに女物の、サイズがちょうどいい、適度にオシャレな服が落ちていないですかね。
落ちてるわけないですよね。
買い取ろうにも、泥棒しようにも、村や街に近づかなくてはならないのです。
それに、買うにはお金が無いし、泥棒するのも気がひけるのです。
代金がわりにオークの魔石を置いておけば、ワンチャン、取り引きとして成立するのですか? 一方的ですけど。
うーん、それよりも手っ取り早く、盗賊でもしばいて身ぐるみ剥がした方が早いですかね?
男物、それも使用後の服とか着たくないのですけど、新しい服を手に入れるまでの間だから我慢するのです。




