角うさぎ その7 ゴブリン解体。これが魔石なのです?
はー、初戦闘は無事に終了したのですが、若干のスプラッター具合にちょっと気分が悪くなったのです。
ですが無事に初勝利!なのですよ!
この程度なら、ゴブリンと正面から戦っても勝てるのではないのですか⁈
まさに圧倒的じゃないか我が軍は、状態なのです!
ハッ⁈
いけないいけない、危うく敗北フラグを立ててしまうところだったのです。
まだ一匹目を殺せただけなのですから、油断大敵なのです。
このまま、奇襲作戦を続けてレベルを上げて、進化を目指すのですね。
とりあえず、お亡くなりになったゴブリンさんの後片付けをするのです。
巣穴の近くで腐乱死体になられても嫌ですしね。
うーん、穴を掘って埋めてしまうのですかね。
角うさぎは雑食ではないのです。雑食でも食べたくはないですし。
あっ、テンプレなら、いわゆる魔石?的なものはあるのですか?ちょっとグロいけど、一応探してみるのです。
角に魔力を流して切り割いていくのですが……。
………ぅおっぷ、吐き気が………。
……これも定番なら心臓の近くに……あった!
1、2センチくらいの赤黒い石。
これが魔石なのです?
わたしの体の中にもあるのですかね?
確認のしようもないのですけど。
さて、せっかく見つけた魔石なのですが、これどう活用すれば良いのですかね。
定番なら、魔道具の動力源とか、外付けの魔力タンクにしたりとか。
あるいは直接食べて、魔力やスキルを強化したりとかするのです。
血まみれの魔石。
けして食欲がわくものではないのです。
ないのですが……これまた試さないわけにはいかないのです。
効率よく戦力や魔力を上げていくには避けては通れないのですよ。
せめて血を拭くか、水で洗ってから試すのです。
とりま、魔石を巣穴に隠し。ゴブリンを埋め。返り血まみれの自分を川で洗い。再び迷彩を施してから、巣穴に戻って魔石を試食するのです。
………………。
結果から言うと、食べられたのです。
カッチカチに固くて、歯が欠けるかと思ったのですよ。
けれども、魔力を歯に流した、魔力歯でサクサクいただいたのです。
お味のほうは……なんか血の塊というか、味の濃いレバーというか、好みが分かれるお味なのでした。
丸呑みしてもよかったのですが、喉に詰まっても嫌ですし、丸呑みで効果があるか分からないので、ようっく噛んでいただいたのです。
……食べた夜に、体が熱くなってきたのです。
ゴブリンといえども、角うさぎからすれば格上の魔石なので、消化吸収するのには時間も体力も使うと思うのですよ。
熱に浮かされながら、朦朧とした意識で魔力循環訓練をするのです。
巣穴の中で身を丸く縮めて、熱がおさまるまでじっとしてやり過ごすのです……。
寂しいとか、不安とかは感じないのです。
乳離れしてから、すぐに一人ぼっちになったのです。
父親は知らず。
母親はゴブリンに食べられ、兄は罠にかかって人間に捕まり、姉妹達は狼や野犬に食べられたのです。
この世界の中で、たったひとりで生きる。
生きていくしかないのですから。