ヴォルパーティンガー その17 不幸な事故だったのですね。ナムアミダブツ、ナムアミダブツ。
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素人の趣味で始めた、つたない作品ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
で、では改めて魔石回収及び、生ハム回収するのです。
まあ生ハムは全回収せずに少し残してやるのですけどね。……爆発魔法で吹き飛ばしたお詫びに。
さて数が多いのでサクサクいくのですよ。
生ハムの胸を魔力角で切り開く。
魔石を確保してボックスに収納。
さらに生ハムも収納。
その作業をひたすら繰り返していくのです。
なんだか生鮮食材の加工工場で働いているパートタイマーのような気分ですね。そんな経験をしたのかさえ覚えてないですが。
時々、生ハムは残しておくのですよ。
なんだか、野鳥のために果物を少し取り残す山里の人みたいなのです。
ポイポイとアイテムボックスに入れていると、生ハムと一緒に白い狼の死体が転がっているのです。
……これは、さっきの爆発に巻き添えを食ったオオカミさんなのですか?
アルビノっぽい真っ白な毛皮に、舌をだら〜んと出し、口からは血を吐いているのです。
若干の後ろめたさを感じつつも、あれは仕方がないことだったのだと自分に言い聞かせるのです。
うむ。不幸な事故だったのですね。
せめて安らかに成仏するのですよ。
と、またナムアミダブツを唱えようかと思ったら、さらに血を吐き出して痙攣するではないですか!
こいつ生きているのです⁈
あー、どうするのですかね〜?
わたしが意図的ではないにしろ、事故で傷つけて死にかけてるのですよ。
いわゆる過失致死傷罪が成立するのです?
まあ日本の刑法がこの世界にあるわけないのですが。
あったとして角うさぎとオオカミさんに適用されるわけもないですし。
それでも、何というか……こう、そこはかとない罪悪感があるわけなのですよ。
もちろん敵対していたら、今まで殺してきたオオカミさんたちと同じところに送ってやることに、躊躇いはないのです。
ただ、こっちを攻撃したわけでもない相手を、殺さなくてはならないほど、わたしはもう弱くはないのですよ。
さらに、今のわたしには、光属性の回復魔法という助ける手段があるのです。
魔物の世界が弱肉強食だとしても、生ハムをたくさん確保したし、あえてこのオオカミさんを食べる必要もないのです。
数え上げると、殺さない理由ばかりなのですね。
角うさぎ時代なら問答無用で殺していたのですが。
むしろ経験値美味しいのです! って前のめりでいったのですよ。
強いて言うなら、リルに対して多少危険かな? というくらいなのです。
それも、リルが進化するので問題ないですし。
だって、このオオカミさんたいして強くないのですから。




