ヴォルパーティンガー その9 『助けてくれてありがとう。』
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素人のつたない作品ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
長々と考えたのですが、実時間的にはわずかなものなのです。
思考加速のおかげなのですね!
と、リルがモゾモゾと動き出したのです。
そろそろ起きるのですね。
たまにはこちらから声をかけてやるのです。
『おはよう、リル。もう朝なのですよ。』
まだ微睡んでいるのです。
分かるのですよ、起きる寸前が一番気持ちいいのですよね。
あと5分、もう5分とついつい二度寝してしまうのです。
まあ、昨日は文字通りの死闘を繰り広げたのですから、たまには甘やかしてあげるのですよ。
愛情をこめて、ペロペロと毛繕いするのです。
寝たまま気持ちよさそうにうっとりとするリルなのです。
しかし、角がデカくて動きづらいのですね。
おっと、巣穴の中では変化しておくのです。
ここはアルミラージをとばして、角うさぎ時代まで戻るのですかね!
というわけで変化!
うんうん、このサイズ感しっくりくるのです。
リルと同じくらいの大きさで、毛玉二つで丸まって寝るなんて至福の時間なのです!
ふわぁ〜、わたしもまた眠くなってきたので、二度寝するのです。
おやすみなさい。
『おねいちゃん、ミラおねいちゃん、おきてなの!』
ゆさゆさとゆすられて起こされるのです。
目を開ければ、前足でわたしを優しくゆするリルがいるのです。
『おはよう、リル。よく眠れたのですか?』
わたしが目を覚ますと、安心してまた涙目になるのです。
まったく泣き虫なのですから。
困ったものなのです。
『ミラおねいちゃん、いきててほんとによかったの!
ケガはだいじょうぶなの?』
『わたしは大丈夫なのですよ、リル。
まったく無茶をして。
どうして逃げなかったのです。
死んでしまったらどうするのですか?
あなたはまだまだ弱いのですから、自分より強い相手に挑むなど無謀もいいところなのですよ。
生き残るためには、時には逃げることも必要なのです。
今回はたまたま運が良かっただけ。
リルが生き残るためには、わたしを放って置いて逃げるべきだったのです。』
くどくどとお説教されて、ズーンと沈んだ様子のリルなのです。もちろん涙目。
わたしだって言いたくはないのですが、この先リルが生き延びるためには必要なことなのです。
でも。
『……それでも、どんなに無謀でも。
相手が遥かに格上でも。
リルがわたしのために立ち向かってくれたことを、わたしは嬉しく、誇りに思うのです。』
ハッとして、リルはわたしを見るのです。
そして、わたしは優しく(うさぎ的に)微笑みながらリルに告げるのです。
『リル、助けてくれてありがとう。
リルのおかげで今、わたしは生きているのです。
あなたは戦う力は弱くとも、心はとても強いのですね。
見直したのですよ。』




