修行 その十五 神子? こっちに来たら、やーなの!
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
風邪ひきました。んで、寝てる間にブックマ巡りに感想巡り、作者ページ巡りしてたら、面白い作品に出会ったのでレビューを投稿しました。ご興味がありましたら、どうぞ。
「脳筋王子と肥満王〜仏独伊が出来た頃の物語」
歴史小説で、好みは分かれるとは思いますが、ツボにハマると爆笑必至。咳の発作と相まって死ぬかと思いました。発熱時のテンションかもしれないですけどね……。
(๑˃̵ᴗ˂̵)=3
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
あ、あれれ?
おかしいなぁ……なんでこんなに怖いの?
ゴブリンなんて最弱クラスの魔物なのに……。
「どうした、チビ助。さっさと帰んぞ?」
「……なんだ? 震えてんのか、おまえ」
お兄ちゃんたちが声をかけてくるんだけど、答えるよゆーもないの。
ど、どうしよう! もうゴブリンが来ちゃうのに!
「あ……あのね? ご、ゴブ……ゴブ、リンが、ね?」
歯がカチカチと鳴っちゃうくらい、怖くて震えてうまく話せない……!
「顔が真っ青じゃねーか……大丈夫か?」
年下の方のお兄ちゃんがのぞきこんてきたの。
名前は……なんだっけ。さっきからメルルのことを気遣ってくれてるから、優しい人なのかなぁ。
ほんの少しだけ心によゆーができたけど……くる!
「待て。今、ゴブリンって言ったか?」
大きい方のお兄ちゃんが聞いてくるのと同時に、近くの茂みからガサガサと音が!
怖くて見たくないのに……目が離せない……!
じんわり涙がにじんで、ほっぺにこぼれても拭くこともできずにいると。
「マジか!? 今度はゴブリンかよ!」
「今日は災難続きだ……しかも、チビ助には頼れそうもねーしな」
「それもマジか!?」
……出てきたゴブリンは二匹! 怖いよう!
「……ちっ。おいノルテ。チビ助連れて逃げろ」
「ダンカン、おまえはどうすんだよ」
「オレ一人ならなんとでもなる。だけど、チビ助を連れてちゃあ、逃げられるもんも逃げられないだろ?」
お兄ちゃんたちがなにか言ってるけど……頭の中がぐちゃぐちゃになってて、分からない!
そうしてる間にも、ゴブリンが近づいて……。
こっちを見下す濁った目。
いやらしく嗤う口。
その乱杭歯で……メルルに噛みついて食べちゃうんだ……!?
「いやあ!! こっちに来ないでーーー!!!?」
心が恐さでいっぱいになって、なにも……見えなく…………。
……………………………………………………
そうして、わたくしは目を開ける。
まったく……この子にも困ったものね。
神の子ともあろう者が、下衆の極みとも言える下等生物を怖がるなんて。
理由は……思い当たることはあるけれど、今考えるべきことではないわね。
今すべきことは、この場を切り抜けること。
それも、わたくしの存在をお父様やお母様に気づかれることなく終わらせなければならないの。
わたくしには、一心同体ともいえるこの子や、お父様とお母様に対して敵意や害意はない。
だけど、わたくしの存在が露見した場合、敵意がない事を信じてもらえるかは分からない。むしろ即座に消滅させられる可能性の方が高いであろう。
そして、それは一つの魂を共有しているこの子にも、消えない傷を残してしまうはず。それは望まない。
わたくしは、わたくし自身と愛しいこの子のためにも消えるわけにはいかないのだ。
つまり、この時この場での最適解は……。
「やーなの! こっちに来たら、やーなのー!」
くっ……!
幼児のフリをするのは恥ずかしいわね……!?
羞恥で顔が熱くなる……! ゴブリンに対する拒絶反応に見えることがせめてもの救いかしら……。
だが、やり遂げなければならない。
それが愛する者たちを守るために、かつて愛を司っていた神の欠片としてできることなのだから。




