番外編 その36 ミラさんの育児日記4
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
今日のお話の主役は技芸神様です。
脇役ですが。わりと気に入っているキャラですね。
今、技芸神サラサの過去が(少しだけ)明らかに!
∑(゜Д゜)
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
♪つんつん月夜の角うさぎ
月に向かってなぜ跳ねる
月にはうさぎの神様が
月から月夜の角うさぎ
優しい瞳で見てるから
技芸神様がメルルを抱きながら小声で唄っているのです。相変わらずキレイなお声ですね。
さすがは芸事の神様、まさか即興で作詞作曲して唄って聞かせるとは!
しかも!
内容も角うさぎのことだし、曲調も優しく可愛い感じで完璧ですね!
『……久しく忘れておりましたね。生ある者の温もりというものを』
腕の中の赤ちゃんを優しく見つめながらポツリとつぶやく技芸神様。
そういえば、この方は人間から昇神したんでしたっけ。何百年前かは分からないですけど、人間時代には子守をしたこともあるのかな?
あるいは……自分の子を抱いたりとか。
考えたことが分かったのか、技芸神様はわたしを見て苦笑したのです。
『まこと残念なことではございますが、わたくしは子を授かったことはございませぬよ。もし授かっていれば、その経験もまた技芸に活かせたでしょうに。惜しいことをいたしました』
出産や子育てすら芸の肥やしですか!
筋金入りの芸人(お笑いではない)ですね!
いや、この場合はアーティストとでもいうべきですか。
……でも、口ぶりからすると、お相手が居なかったわけではなさそうですよね。
細身だけどセクシー美人ですし、人間時代でもさぞかしモテモテだったんじゃないですか?
『左様でございますね……。自慢にはなりませぬが、舞姫としても歌い手としても、それなり以上には好評を博していたと自負しておりまする。その中で将来を誓い合った殿方もひとりふたりは居たやも……。ですが燃え上がる恋情も、わたくしの技芸に対する熱情には到底及びませぬゆえ。いずれも時が経てば離れてゆく定め』
かっ、カッコイイ……!!
芸のためなら男も泣かす、ってところですか。
さすが芸歴ウン百年は言うことが違う!
そんなセリフ、いっぺん言ってみたいですね!
遥かな過去に思いを馳せたのか、遠くを見つめていた技芸神様ですが、自分の手元に目を落として再び唄うのです。
♪つんつん角付き角うさぎ
土にまみれて角を研ぐ
角はうさぎの神様が
穴が住処の子うさぎを
研いで守れとくれたから
♪つんつん月見る角うさぎ
月の雫の角うさぎ
いつか翼を得たのなら
月の光に招かれて
神の杜の月へ行く
……なんだか自分のことを歌われているような。
でもでも、角うさぎ的に内容は間違ってないし気に入ったから、わたしも覚えてメルルに唄ってあげよっかな。
『ホホホ、まこと可愛らしい子でございますね。わたくしも今から婿でも取って産んでみましょうか』
まさかの技芸神様、婚活宣言!?
ピシャゴーンと衝撃を受け、口をあんぐりと開けていると。
『冗談でございますよ。いまだ技芸を極めたとは言えぬ未熟者にて。とても婿取りなど考えられませぬ』
あー、びっくらこいた〜〜!
でも、仮にも神様のお相手だから探すのも大変かもしれないですね。
……この場合、一緒に歌って踊れる相手(神)がいいのか、それともフォローしてくれるプロデューサー的な人(神)がいいのか。どっちですかね?
『つんつん角うさぎ ~メルルの子守歌~』
作詞 ゆり様
ありがとうございました!^_^




