番外編 その20 ミラさん子作り奮闘記⑥
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ガビ〜ン!と大口あけてショックを受けていると、ルーナ様に諭されたのです。
『ようやく落ち着いてくれたみたいだね。
今ならミラちゃんにも分かるはずだよ。魂を感知する権能は僕の眷属時代からあったでしょ?』
はっ!そうだった!
わたしは自分の手を下腹部に当てると同時に、神眼で見るのです。すると……。
お腹の奥、子宮のあたりに確かに息づく一つの命。
もしかして、もしかすると?
『そう。ミラちゃん、君の前世の角うさぎお母さんの魂は、新たな命としてお腹に宿ったみたいだね。とりあえず、おめでとう!かな?』
……あー、ありがとう?ですか?
なんか、嬉しいような、そうでないような微妙な気持ちなのですね。実感が湧かないというか。
そもそも、わたしとルーナ様の子供ということは、神の子ですよね?
その場合、誰か他の魂の転生者でもいいのですか?
新しく魂を創り出すとかじゃなくて。
『うん?特に縛りは無いよ?
まあ、出来るなら他の神々にはない、新しい権能があるとこの世界の補完になるからベストだけど。
それに一から創り出すのは時間がかかるからね。
ミラちゃんだって、生まれ変わってから進化して神になったじゃない。』
それもそうですね。
考えてみれば技芸神様や鍛治神様も、かつて人やドワーフから神に至ったということは、それまではこの世界で輪廻転生していたわけですし。
『そうそう。
今回はミラちゃんのお腹の中に出来かけていた神としての素体に、角うさぎお母さんの魂が融合した形、なのかな。
うん。僕とミラちゃんの愛の結晶の、最後のきっかけになってくれたってことだね。
さすがはミラちゃんの母うさぎ!
子作りでも大功を立ててくれたね!』
な、なにが愛の結晶ですか!
ルーナ様の言葉に、顔から火が出るかと思うくらい赤くなるのです。
……くっそう。
あながち間違ってないってことが、また腹立たしいのですよ……。
真っ赤な顔でむくれているわたしを、ルーナ様は優しく抱きしめてくれるのです。
『僕としては、もうちょっとだけ二人きりで新婚生活を楽しみたかったけど、これもまたいいキッカケかな。
フフフ、どんな赤ちゃんが産まれるか、今から楽しみだよ!』
抱きしめられながらもぼんやり考えるのです。
そうか……わたしが赤ちゃんを産むのか……。
ルーナ様とわたしの赤ちゃんを……。
なにか、急にストンと納得したのです。
再び自分のお腹に手を当てると、じわじわと実感が湧いてくる……。同時に、胸の奥から溢れてくるような喜びと幸福感、それとお腹の中にある命に対する愛しさも。
目の奥が熱くなり、涙がこぼれたのです。
今となっては、前世の角うさぎお母さんの魂が、わたしの、わたしたちの子になるということも、何か運命的なものを感じるのですよ。
かつて、一匹の角うさぎとして生まれ、一人立ちする前に家族を失い、天涯孤独の身で生きていたのです。
その後、リルと出会い、ルーナ様に助けられ、家族を増やしてきた、わたし。
そこに新しい家族が増えるのです。それも、かつての母親の魂を宿して。
……フ、フフフフ、ウフフフフフフ!
『ど、どうしたのさミラちゃん?急に笑い出して。』
ルーナ様!
『ハイっ!』
わたしはここに宣言するのです!
『な、なにを?』
必ずや元気で健康な赤ちゃんを産んでみせると!!
そうと決まれば、地母神様に安産祈願しなければ!
いや、ディアお母様たちも呼んで、まとめてご報告するのが先ですね!
さあ、忙しくなるぞう!
『ちょっと!いきなり走り出さないでよ、ミラちゃん!?君は妊婦さんなんだから!!』




