番外編 その12 クレサンド公国公女
いつもつたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。m(_ _)m
フィリー編が終わったら、ひとまず番外編は打ち止めにしようかと思っています。またネタが浮かんだら書くかもしれませんが。
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
真のお姿を顕したミラ様の神々しさに、我知らず膝をつきます。
クリスティアお姉様にクラウディウスお兄様、それとキャサリーテも。
テーブルの向こうでは、ワース王国第二王子であられるハロルド様とその護衛の方も跪いていますね。
ハロルド様は落ち着いているように見えて、畏敬のこもった視線でミラ様を見つめています。
それもそうでしょうね。
地上で、生きたまま神に会うなど、万人ができる体験ではありません。それは、王侯貴族であっても同じこと。神々にとって地上に住む人々の地位など、有ってないようなものですから。
護衛の方は……お顔が紅潮して憧れの目で見ていますが……、この方がミラ様の正体を見破ったのでしょうか?
だとすれば侮れないですわね。神の隠術を見通したのですから。いったい何者かしら?
『はぁ……。とりあえず皆立って欲しいのです。
神といっても、別にあなた方を支配しているわけでもないですし、信仰を持つも持たないも人の自由なのですから。』
ミラ様のお言葉に、皆がゆっくりと立ち上がります。
『お初にお目にかかるのですよ、王子殿下。
わたしは……先頃、神々の一柱として立った者。
名は、愛護神ミルラーナ。この場ではミラと呼んで欲しいのですよ。』
ハロルド様は、右手を胸に当て深く頭を下げます。
「初めて御意を得ます。
わたしは、ワース王国第二王子ハロルド・エル・ワーズと申します。以後、お見知り置きを。
こちらに控えるは、我が護衛。A級冒険者にして、先のスタンピードにて、わたし達を救ってくれた英雄でもあります。
この者が、昇神される前のミラ様とお会いしたことがあると申しまして。」
なんと⁈
この護衛の方もミラ様と旧知の仲なのですか?
一歩進み出た護衛の方は、騎士の略礼をすると名乗りました。
「殿下の護衛を務めさせていただいております、ガルドと申します。英雄は少し大げさですがね。殿下方をお守りするお手伝いはさせていただきましたが。
……ミラさん。久しぶりだな!」
貴人の護衛に相応しい言葉使いだったのが、最後の一言だけ破顔して砕けた物言いに。おそらくはそちらが素なのでしょうね。
……ミラ様に対して、言葉遣いが少し砕けすぎてはいないかしら?
『……まったくガルドときたら、相変わらず気が利かないのですから!
わたしが正体を隠していることくらい、察せられたはずですよね⁈黙っていてくれてもいいじゃないですか!』
口を尖らして「わたしは不満ですよ!」と表現するミラ様。そんなお顔も可愛いですね!
対して護衛は。
「ごめん!ミラさん!
でも、今の俺にも立場ってものがあってな?
仕えてる人に不義理はできないんだって!」
手を合わせて拝むように謝る護衛の方。
ガルド……でしたっけ?
やっぱり神々に対して、口の利き方が気安くないですか!?
不敬ですわ!




