番外編 その10 愛護神
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。m(_ _)m
台風、心配ですね。
鹿児島から列島をなぞるような予報円、最悪としか言いようがないです。めっちゃ強いし。
皆様、くれぐれも災害には気をつけられますよう。
作戦名は『いのちだいじに』ですね。
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
と、いうわけで。
急遽、フィリーの婚約者を招待して、お茶会をセッティングしてもらったのです。
ここはクレサンド公国の公都。大公とその一族が住まう城館の中庭なのです。
専門の職人によって整えられた花や植木も美しく、四阿からの眺めも綺麗なものですね。
その四阿のテーブルを囲んでいるのは、本日の主役フィリーとお姉さんのクリスさん。そして久しぶりのご登場、姉妹のお兄さんである残念公子改め、小太り公子ことクラウディウスくん。ダイエットが成功したのか、だいぶ体も締まってきてるので、もはや小太りでも無い、ただの公子ですかね。新しいあだ名は平凡公子?
和やかに談笑する兄妹たち。
あとは招待客であるフィリーの婚約者を待つばかりですね。
そして、戦闘侍女のキャシーさんと一緒に、隅っこに控えているメイド姿のわたしなのです。
メイドに扮するにあたっては、当然反対されたんですけどね?
なにしろ本物の神(化身)を使用人として使ってしまうわけですから。キャシーさんの顔色も再び真っ青に。
しかしまあ、そこはゴリ押しで納得してもらったのです。
フィリーもクリスさんも、小太り改め平凡公子も、最終的には気持ちよく了承してくれたから問題無し!
……フッフッフ。
我ながら完っ璧な擬態ですね……。
小柄な体を包むのは、見習い用の濃紺メイド服に真っ白エプロン。
自慢のピンクブロンドの髪もお団子にして後頭部に纏めているのです。
気配も完全に消えない程度に隠しているから、貴族に仕えるメイドの空気感?もバッチリ。
さらにさらに!
ステータスも隠蔽、改竄しているから、例え鑑定を受けても、今のわたしは見習いメイドの「リルミラちゃん(13歳)」としか分からないはず!
隠すべきはキッチリ隠す!
出会い頭に鑑定→即バレした同じ轍は踏まないのです!
『今度からミラお姉ちゃんがリルに乗り移って化身になる時は、リルミラって名乗ることにするの!あれっ?ミラリルでもいいのかな?』
……リルも楽しそうですね。
不自由させて申し訳ないですが、もうしばらく体の主導権を借りるのです。
『ううん!ミラお姉ちゃんと心も体も一つになれるんだから、むしろご褒美なのよ?』
そ、そうですか。
相変わらず、わたしのこと大好きですね!
わたしもリルが大好きですけど!
ちなみにレイちゃんはといえば、庭木の枝で待機。
一緒にメイドにしてもよかったんですが……大人しくできる気がしなかったので。
『高い位置から周囲の警戒を任せるのです!』と言ったら、『レイにお任せなのデス!』と(無駄な)見張りに精を出しているのですよ。
うん、頑張れ。
さてと。
果たして婚約者とやらが、わたしの大切な友人であるフィリーを預けるに足る漢であるかどうか?
この愛護神みずから見極めてやろうじゃないですか!
もしも、風船おやじやハゲ伯のようなクズだったら……問答無用で断罪してやるのです!
「お客様がお見えになりました。」
そう言って案内されてきたのは、イケメン貴公子と連れの護衛?
フィリーたちは席を立ってお出迎えしているのです。
「急にお呼びだてして申し訳ございません、ハロルド様。」
「いえ、愛しの婚約者殿のお呼びとあらば、いつでも参りますよ。」
にこやかに受け答えする貴公子。
と、その後ろの護衛がわたしの方を見て顔を赤らめているのですが……。うーん、どっかで見たような?
というか、今のわたしの気配はすごく薄いはずなのに、なんでこっち見てんですか。人妻(予定)に見惚れてるヒマがあったら、ちゃんと護衛としての仕事しろ。しっしっ。
席に着いた貴公子の耳元によって何かヒソヒソする護衛。
まあ、どんな小声でも神の耳には丸聞こえなんですけどね!ゴッドイヤーは地獄耳!
(ハロルド様、あちらの背の低い方のメイドは……おそらく愛護神であられるミラ様です。)
…………は?
うそーーーーーーん!?!?
なんでぇ⁈なんでバレたんですかぁーーーーー!?(涙)
Q、なぜミラは身バレしたのか?
以下の選択肢から正しいものを選びなさい。
①護衛が同格の神(化身)で神眼で鑑定されたから。
②護衛が以前、ミラと会ったことがあるから。
③隠蔽はしても、神としてのオーラは隠しようがなかったから。
④神殿の神像にクリソツだったから。




