番外編 その9 クレサンド公国公女
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。m(_ _)m
ただ今、いくつかの新しいお話を下書き中です。
ある程度形になったら投稿するかもしれません。
予定は未定、当分先ですけれどもね。
これからも楽しんでいただけると幸いです。
ひとしきりご挨拶をした後、場所を応接室に移して腰を落ち着けますと、ミラ様からわたくしたちにご依頼がありました。
その内容は……。
「ミラ様のご婚礼衣装をわたくしたちに作らせていただけるのですか!?」
「……フィルリネア。はしたないですよ?」
クリスお姉様にまた窘められてしまいました……。
ごめんなさい、お姉様。驚きと嬉しさのあまり、つい身を乗り出して大声を出してしまいました。淑女として、恥ずべきことですね。
ミラ様はクスクスと笑って、わたしを宥めて下さいました。
『落ち着いて、フィリー。
作ってもらうと言っても、すべてお任せするわけではないのですよ。ルーナ様の眷属である玉兎の先輩方も大層張り切っているようですからね。
フィリーたちには、わたしが身につけるケープを作ってもらいたいのです。ほら、以前もらった銀月布の服は着心地が良かったですからね。あれを使って作って欲しいのです。』
「かしこまりました、ミラ様。
月神殿の女神官全員、全力をもってあたらせていただきます。」
「わたくしも!これでも刺繍は得意なんです!
一針一針、祈りをこめてお作りいたしますわ!」
『……ほどほどでお願いするのですよ?』
お優しいミラ様は「ほどほど」とおっしゃいますが、神々のご婚礼に恥ずかしくない品を献上しなければいけませんからね。
ここで頑張らねば、月神の、そしてミラ様の信徒とは言えません!
「お任せください!必ずやミラ様に相応しい品をお届けいたします!」
『ママ姉ちゃんのために頑張って作るのデスよ?』
右肩の上で軽く羽ばたき、カアカアと鳴くレイ様を撫でながら、ミラ様は苦笑して頷かれました。
わたくしたちに言っても無駄だとお思いになったようですね。
ええ!こればっかりは譲れませんからね!申し訳ございませんが、諦めてくださいまし!
そのあと、作らせていただくケープの色、ほどこす刺繍の意匠などを打ち合わせしてから、一休みしてお茶をいただきました。
その茶飲み話で、わたくしの婚約についてもご報告させていただきました。
『おめでとう、フィリー!
それで?お相手はどんな人なのですか?』
おやっ?
……ミラ様の目が急に鋭くなられたような……。
『いや、別に大したことではないのですよ?
ただ、わたしの大切な友人の伴侶に相応しい相手かどうか、神の目で確認してあげようかと思って。』
それは願ってもないことですが……。
なぜか、ミラ様の目が獲物を見定める猛禽のように見えるのですけど、気のせいでしょうか?
キャサリーテ「(……わたくしも、もちろんフィルリネア様のお相手の鑑定はしておりますが……ミラ様はご納得されないでしょう……。もとより神々のなされること。ここは見守るしかありませんね。)」




