番外編 その5 真神
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。m(_ _)m
今頃ですが、ようやく録画していたタモリ倶楽部を最終回まで見ました。
あっさりした、らしい終わり方ですね。
ただ、空耳アワーだけは何か別の形でいいから続けてくれないかなー。大好きなんですよねー。
これからも楽しんでいただけると幸いです。
ミラお姉様は、太った男と捕まったままの村娘の方へ一歩足を進めると、神気を解放して神獣変化なさいました。
金色の光が溢れ出したかと思うと、瞬きする間にお姉様の姿が異形の人型へと変わります。
白銀に輝く龍角。
背から広がる黄金の翼。
両手足を覆う艶やかな獣毛。
衣装の外に伸びる狼の尻尾。
そして、ピンクブロンドの髪の上には可愛らしいうさぎの耳が。
白いゆったりとしたトーガを身に纏い、紅玉のような大きな真紅の瞳は神としての威厳と慈愛に満ちています。
相変わらずのお美しさに、今いる場所も忘れ思わずため息が出てしまいますね。
……ただし、まだまだお体の成長度合いは、リルお姉様より少し幼いくらい、といったところでしょうか。
しかし、これこそが愛護神ミルラーナ様……わたしたちがお仕えするお方の真のお姿。幼いからといって、その美しさが損なわれるわけではありません。むしろ愛らしさが増していますね。
人の身でありながら、ミラお姉様のお姿を見ることができる幸運に感謝するのですよ?
道を踏み外した悪徳神官には過ぎた幸運ではありますが!
呆けてミラお姉様の方を見るばかりの男は、それでも村娘……リルカを手放さないようですね。……ただ単に、お姉様の存在感に圧倒されて忘れているだけかもしれませんが、いつまでも捕まったままなのも良くありません。
すると、ミラお姉様が二人の方に右手を差し伸べたと思った次の瞬間!
リルカはお姉様の右腕の中に抱かれているではありませんか!
亜神となったわたしですら発動の瞬間が分からない、見事な転移魔法ですね!さすがはミラお姉様です!
「ミラおねえちゃん、なの?」
お姉様は腕の中の少女と目を合わせて微笑み、頷きました。そして、額に口づけをして頭を撫でると、両親の元へと送り出したのです。
……今この瞬間、リルカには新たな加護が与えられたようでございます。前に与えていた亜神の祝福ではなく、神としての加護が。
ミラお姉様は恐らくお気づきではないと思いますが、わたしたち眷属以外で加護をお与えになったのは初めてなのでは?
これはもはや、お姉様の巫女にでもしないと周囲が収まらないのでは?
また、ミラお姉様がやらかしてしまったのでしょうか?
……いいえ、ミラお姉様のなされることはいつも正しいのです。
そうやって、わたしや皆を救ってきたのですから。
もし問題が起こるのならば、わたしたちでフォローすればいいだけのこと。
リルカのことは、姉妹たちにも伝えて気をつけることと致しましょう。ミキューさんもついていらっしゃいますし、問題ないとは思いますけど。
涙を流して抱擁を交わし、喜ぶリルカと両親たち。
こういう光景は何度見ても良いものですね。ミラお姉様が望まれたこと、そのものと言ってもいいでしょう。
さて。後顧の憂いはなくなりました。
あとは神として、愛護神としての初めての断罪をこの目に焼き付けておきましょうか。
あの男にどのような罰が与えられるか楽しみですね!
『愛護神の加護 幼き者の守護者、愛護神ミルラーナの加護。病気や怪我の治療魔法の効果が上昇、対象が子供の場合はさらに大幅に上がる。また、病気耐性が大幅上昇する他、自身に対する害意を感知できるようになる。』




