愛護神 その32(完) 角うさぎなのですよ!
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございました。m(_ _)m
いつもより長くなりましたが、これにて完結。
あとは不定期ですが、番外編をいくつか投稿できればと思っています。
2022年の1月から始まって、約二年半。
ここまで続けてこれたのも、読んで、感想を聞かせて下さった読者様方のおかげです。
本当にありがとうございました!
\(๑╹ω╹๑ )/
……チュン……チュン……
……う〜ん……。
そろそろ起きるのですかね……。
キングサイズのフカフカベッドの上で、フワフワの羽毛布団ならぬ兎毛布団にくるまって、モゾモゾ動くのです。
昨日は結婚式から宴会に突入したのですけどね?
なかなかにカオスなことになったのですよ。
余興として、元々予定してた技芸神様の歌と踊りは、それはもう素晴らしかったのです。
ストーリー仕立てで、わたしとルーナ様の悲恋から始まり、紆余曲折を経て、転生の果てに結ばれたことをかなり美化して歌ってくれたのですよ。やっぱり恥ずかしかったですけどね。
次に、結婚おめでとうの祝福の踊りを迦陵頻伽さんたちと一緒に踊ったんですけど、それがまた凄くて。全員飛べるから、天井の高い広間全体を使って三次元立体機動での舞踊り。
竜宮城に行った浦島さんでも、こんな素晴らしい踊りはたぶん見てないですね。眼福眼福。
と、そこまでは良かったんですが、お酒も入ってテンション上がったのか、戦神様率いるモリガン軍団が剣舞を始めてしまって、そこにレイと火龍王様と、なんとタロースが参戦!
おまっ! その図体で馬鹿でかい剣を振り回すんじゃないのです!
『ぐわっはっはっはっ!』
お前も爆笑してないで止めろや、鍛治神!
……あっ。
地母神様……お義母様の額に青筋が……!
『いい加減にしなさーい!!!!』
そうして、全員正座で地母神様にお説教されたのですよ。
鎧具足を着たままの正座はさすがに苦しそうですね。可哀想だけど、わたしにできることは無いので諦めて我慢するのですよ?
巨体のタロースが律義に正座してるのも、シュールでちょっと面白かったですけどね。
結局、グダグダで宴会は終わり、わたしたちは退場。
他の連中は帰る中、飲み足りない鍛治神様は二次会に突入。さすが元ドワーフですね。
捕まったのは龍神様と戦神様、あとは鍛治神様の眷属のエルダードワーフたちですか。いったい、いつまで飲んでたんですかね? まさか朝までってことはないと思うんですが。
……それにしてもだるいのです……。
起きたはいいけど、なかなか動く気にならないですね。
まったくもう! ルーナ様ったら!
わたしは初めてだったんですよ⁈
ずうっと「待て」をしてたのは申し訳ないですけど、もう少し手加減して欲しかったのです!
ウルトラ気持ち良かったですけれども!
耳知識として、初めてはめっちゃ痛いって聞いてて、実際痛かったんですけどね?
ところがどっこい、回復魔法を使ったらあっという間に平気になっちゃって。あとは蹂躙されるばかりでしたね。
しかも、神気を交換して精神、魂ごとまじわった感じで。ルーナ様の心とわたしの心が混ざり合い、そのまま頂へと誘われたのですよ。んで、結局7回戦くらいしたのですか?
そりゃあ、疲労困憊にもなろうというもの。
神のHはマジやばいのです……!
しばらくは無しでもいいかもですね! お預け!
隣りを見れば、至近距離に銀髪巻毛のイケメンが穏やかな寝息を立てているのですよ。
……じーっと見てると胸の奥から暖かい気持ちが溢れて、次いで顔が赤く染まるのが分かるのです……。
フ、フンッ! まったく満足そうな寝顔しやがって!
額に「肉」の字でも書いてやろうか……!
いや、この場合は「月」とかの方がいいのですか?
……チュン……チュチュン……
はぁー……。まさか自分が朝チュンを聞くことになろうとは。
少なくとも角うさぎに転生した段階では、まったく想像もしてなかったですね。
まあ、愛する人(?)と結ばれたわけですから、幸せっちゃあ幸せなんですけどね。
……チュン……チュン……チュン……
んっ?
ちょっと待つのです?
よく考えてみれば、月にすずめとか小鳥っているものなのですか⁈
うーん。まあ神域ですし、中庭には草が生えてたし、常識が通じないのは分かるんですが。
ベッドから降り、アイテムボックスから大きめの布を取り出して胸元から巻き付けると、寝室の窓に歩みよってカーテンを勢いよく開けるのです。
すると、そこには……!
『チュン、チュン。』
と鳴く、玉兎パイセンが。
はい?
なにやってんの⁈
『おはようございます! おひいさま!』『ご気分はいかがですか?』『すぐに朝食にいたしますね!』
ええ〜っと……。
すみませんが、パイセンたちはここでいったい何をしてるのですか?
『主様に言われたのです!』『初夜の後は朝チュンだよね! って!』『そこで、わたしたちモノマネが得意な、選りすぐりの玉兎で再現させていただきました!』
ふ、ふふっ、そうですか……。
わたしはがっくりと肩を落とすのです。なんとも言えない脱力感が襲ってくるのですよ。
…………わたしの旦那はアホなのですか?
くるりと振り返ると、ツカツカとベッドに近づき、おもむろに七角神剣を取り出すのです。
目はつぶったまま、ビクッと肩が震えるルーナ様。寝たフリしてんな? こいつ。
『おはよう、ルーナ様。起きてるんですか? 起きてるなら返事くらいしてくれてもいいんじゃないですか?』
諦めたのか、目を開けるルーナ様。
『お、おはよう、ミラちゃん。
なんで朝から剣を抜いてるのか、な?』
わたしはニッコリと微笑んで告げるのです。
『それはもちろん、この剣でアホのルーナ様のおでこに「月」の字を刻みつけてあげようと思って。』
『なんで⁈』
なんで、ですって?
自分の胸に聞いてみるのですよ!
き、昨日の夜は、わたしを散々いじめてきたくせに!(赤面)
あと、パイセンに朝チュンやらせるとかアホか!!
『でも、雰囲気出たでしょ!?』
余計な気遣いはいらないのです!
そうして、ベッドの周りをグルグルと追いかけっこをするわたしたち。窓からパイセンたちが生暖かく見守っているのですよ。
『待てー!』
『待たなーい!』
『……平和ですねぇ。』『そうですねぇ。』『どちらが勝つか賭けますか?』『わたしはおひいさまに!』『わたしも!』『賭けになりませんね!』『『あははははは!』』
『ちょっと! 笑ってないで助けてよ⁈』
『捕まえた! 喰らえっ!』
『うぎゃ〜〜!!』
このっ、このっ……!
ふう、スッキリ。これで悪は滅びたのです。
とりあえず、罰として一週間はH無しで。
『嘘でしょ⁈ 新婚さんなんだよ!?』
ガバッと起きたルーナ様のおでこには炭で書かれた「月」の字が。ブフッ。
自業自得ですね。諦めるのですよ。
がっくりと項垂れるルーナ様。あれですね、これはorzってやつ。神様がorz。ウププッ。
人型のままだと、ワンチャン押し倒されるかもしれないから、変化を解くのです。うむ、やっぱりこの姿が落ち着くのですね。
ルーナ様はほっといて、パイセンたちと一緒にピョンピョン跳んで食堂へ。今日の朝ご飯は何かなぁ〜っと。
うん? 神にお仕置きするお前は何者か、ですって?
別にどこにでもいる、角うさぎなのですよ!
(END)
謝辞
初めて感想を送ってくださった、楠 小豆様
反響をいただくことが、こんなに嬉しいものだとは思いませんでした。おかげで心折れずに続けることができました。
言わずと知れたご意見番、ゆり様
ネタの提供から考察、楽しいボケとツッコミ、さらにはショートストーリーまで。角うさぎの半分はあなたで出来ています。残り半分はやさしさかな?本当にありがとうございました。
いつも礼儀正しい、志狼・アマダ様
ミラさんの前世の死の理由は、まんま使わせていただきました。この作品のその後の方向性を決めたと言っても過言ではありません。あと、特撮とDBネタでは他の追随を許しませんね。勝てないです。(笑)
ストーリーテリングのプロ、通りすがりの猫耳リス尻尾様
さすがPBMで鍛えた創作力。ヒロイックなショートストーリーや祈りの言葉はかっこよかったです。オデットさんをボツから救っていただいたことも忘れません。せっかくご許可いただいたミキューさんを活躍させきれず、申し訳ないです。番外編で頑張ります。
オタク友達でもあった、今は亡き兄
あなたと共に、マンガ、アニメ、ゲーム、小説に親しみ育ってきました。角うさぎは、その集大成とも言えるかも。この作品を生前に分かち合えなかったことだけが心残りです。
くわ様、ぽいずん様、 Yunutto様、視最 都魔 様、もけふにゃ子様、大庭慎司様、ロック様、あっきー様、その他、感想を送ってくださったすべての読者様、並びに角うさぎを読んでくださった、すべての読者様
素人の書いたつたない作品を、作者が意図していなかったことさえも読み取り、ツッコまれて初めて「あっ。そういうことか。」と気づくこともしばしば。
それだけ深くミラさんたちの活躍を理解し楽しんでいただけたこと、本当に作者冥利に尽きます。ありがとうございました。
また、いつまでも無くならない誤字脱字の報告もありがとうございました。前にも書きましたが、お恥ずかしい気持ちの反面、原稿の校正をされてるみたいで、少し嬉しかったです。
皆様のおかげで、ポンコツな自分でも一つの作品を完結まで書き続けることができました。大変だけど、楽しかったです。
本当に、本当にありがとうございました!
m(_ _)m
『ありがとうなのです!』
(๑╹ω╹๑ )ノシ




