愛護神 その25 決断と暗転
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。m(_ _)m
いよいよクライマックスっぽい?
というわけで、今日は十分おきに三連投します。
途中で見た方は目次をご確認してください。
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
『ミラちゃん⁈』『ミラお姉様!』
神剣を抜き放ち、全力で魔力と神気をこめたわたしを見て、驚くルーナ様たち。
七角神剣からは七色の光が溢れ、神すら殺し得る全属性の威力を示しているのです。
「みんな、避けて!?」
散開して飛び退るみんな。
わたしは叫ぶと同時に、神剣を横薙ぎに振ったのです。
振ってしまったのですよ。
踏み込みもせず、ただ手で振っただけの斬撃は誰も傷つけることはなかったのですが……。
それでも信じられないといった、驚愕の表情のリルたち。
そりゃあそうですよね。
群れの主が、自分の群れの仲間を攻撃したんですから。
わたしも顔から血の気が引いているのです。
……危なかった! 今のはヤバかったのです!
一歩間違えれば、わたしの手でリルたちを殺してしまったかもしれない……! その事実がわたしを打ちのめすのです。
【……コワセ…………ホロボセ…………】
このままでは、封印も間に合わない。
わたしが、みんなを傷つけ、殺してしまう前に。
そんなことをするくらいならば、わたしは……。
わたしは!
「ルーナ様、ここまでです……。
リル、お前はもう立派な一人前の角うさぎなのです。
あんまり泣かないようにね? たまにはいいですけど。
ラン、いつも助けられてばかりでしたね。でも、自分の幸せも見つけるのですよ?
レイは……もう少しだけ落ち着こうね? お前のいたずらも楽しかったですけどね。
オデットさん。せっかく祈ってくれたのに、こんな終わり方になってしまうことを許して欲しいのです。』
『ミラちゃん? いったい何を……。』
不穏な様子に、疑問を呈するルーナ様。
わたしは感情を制御して、固い微笑みを向けるのです。
「ディアお母様。また先立つ不孝を許して欲しいのです。でも、次はもっと早く逢えると思うので、待っていて欲しいのですよ。」
『ミラ! あなた、まさか!?』
さすがに気付かれたかな。近づこうとするお母様たちを、剣で牽制するのです。
最後に。
「ルーナ様……愛しているのですよ?
だから、わたしを信じて。
わたしもルーナ様を信じているから。」
ホロリと一粒涙がこぼれたのです。
これは……わたしの魂が泣いているのですか? せっかく逢えたのに、また別れなければいけない事実に。
でも、前回と違って、今度は千年単位で待たずにすぐ逢えると分かっているのです。呪いの種類が違うのですから。たぶんですけどね。
『待って、ミラお姉ちゃん!』『お姉様⁈ おやめください!』『置いて行かないで、ママ姉ちゃん!』『ミラ様……必ずやお探しいたします。』『やめて! ミラ!!』
『僕も……愛してるよ、ミラちゃん。そして信じてる。なーに! 絶対にすぐ見つけるからね!』
涙目で強がるルーナ様にクスッと笑って。
わたしは、全力を込めた神剣を。
自分の胸に突き刺したのです。
【G Y A A A A a a a a a a a!!!!!!】
呪い諸共に自分を焼き尽くす神剣。
そして……意識が暗転したのです。




