間話 その58 月神の化身 再会
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。m(_ _)m
ただ今、ゴールデンウィークという名のデスマーチの途上でございます。
今年は人員も補充されたから余裕ぶっこいてたら、副店長がコロナでまさかの長期離脱!ウッヒョエアー!?
勘弁してくれ〜!(^◇^;)
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
エルウィナスから放たれるのは、呪いのたっぷり込められた闇色の波動。
もう、どんだけ〜⁈ ってくらい憎悪がこもってて、見ているだけで痛いね。彼女も最初からこんなんじゃなかったんだけどなぁ。
父である太陽神と、母である地母神によって創り出されたのは僕と戦神、そして愛と美の女神エルウィナス。
智神と龍神は、別の星系からお願いして来てもらったから、僕たちとは出自が違うんだ。
この星をより良く導くため、この星に生まれた生命に進化を促すため。二柱の神には協力してもらったわけだね。
鍛治神と技芸神は、いわばその助力によって生まれたとも言える。
すなわち、この星で生まれた生命が進化の道を辿り、僕たちの領域までたどり着いたのだから。数少ない最高の成功例ってわけだ。
だが、エルウィナスは違う。
彼女は言ってみれば、僕の妹神ともいえる神だ。
もちろん、神である僕たちにとって、人間でいう血縁というものとは意味が違うけどね。
正直に言えば、僕はエルウィナスと夫婦になれと命じられたとしても、特に異論はなかっただろう。
彼女が生まれた時からの付き合いだからね。そんなものか、と思ったとしても不思議じゃない。
でも、僕はミラちゃんに出会った。出会ってしまったんだ。
人は、恋に「落ちる」と言うそうだけれど、まさにその言葉通り、僕はミラちゃんと恋に落ちた。
彼女の方は照れ屋だから、はっきりとは言ってくれなかったけど、そんなのは態度を見てれば簡単に分かるよね。
顔を真っ赤にして、「仕方ないから結婚してあげるのです!」なんて言ってさ。ツンデレ乙、ってなものだね。
……今はそのことにも少しだけ後悔しているんだ。
なぜなら、はっきりとした言葉を聞く前に、ミラちゃんを失ってしまったから。
幾星霜の果てにやっと会えたミラちゃん。
今度こそは、彼女から愛の言葉をはっきりと聞かなくちゃ、死んでも死にきれないよね!
まあ、この体は化身だから死なないけど!
クッソ!
それにしてもいつまで続くんだ、この波動砲は⁈
普通、波動砲の照射時間なんて一瞬でしょ!?
長くても十数秒も撃てば、砲身が焼き切れると思うんだけど!!
……やりたくはなかったけど、これは化身の体を使った最終神技を使うしかないかな?
今のこの化身に満ちた神気をすべて暴発させて、擬似的に月を墜とす。
必殺の衛星墜落。
当たったやつは死ぬ!
いかにエルウィナスが脅威の回復力を持っていようとも、これを食らえば即死間違いなし!
ただし、死の砂漠ごとクレーターにしてしまうかもしれないけどね!
ママン(地母神)に怒られることは間違いない!
個別に守るなんて器用なことが出来る技じゃないから、やるなら今すぐに退避してもらわないといけない。
ミラちゃんも、リルたちに運んでもらうしかないかな?
呼びかけようとして、ふと気配を感じて振り返ると、そこには傷ついた体をおして膝立ちになり、僕に無事な方の右手を差し伸べるミラちゃんがいた。
回復中なんだから無理しないでよ!と言おうと思ったんだけど、その顔を見て僕は言葉を詰まらせてしまったんだ。
だってさあ。
僕を見て一筋の涙を流し、綺麗な泣き笑いを見せるミラちゃんの表情は…………かつての生まれ変わる前のミラちゃんと同じだったから。
そうして、僕の頬に手を当て、ずっとずっと聞きたかった愛の言葉を僕に囁いたんだ。
「……ようやく再会できましたね、愛しい方……。
三千年前も。今も。ずっとお慕い申し上げております……。」
そう言うと、顔を近づけてきたミラちゃん。
記憶が戻ったの⁈ と驚き動けない僕の顔を確認するかのように上から下まで視線を動かすと、目を閉じてさらに近くに……。
初めてのミラちゃんからの口づけは……気が遠くなるほど甘く、ほんのり血の味がした。
そして、顔を離すとミラちゃんは自分の存在を自ら定義し、神へと至ったんだ。
この話でのミラさんの行動は、前話で頭ぼんやりしてる間に、かつての記憶と人格が表に出てきたためのものです。だから口調も違うし、自分からチューしたことも本人は覚えていないでしょう。
正気に戻れば元通りですし、いずれ統合されて出てこなくなるでしょうね。……統合されるまで二重人格も面白いかも。やらないですけどね。




