神兎 その135 そんなあなた様だからこそ……
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これからも楽しんでいただけると幸いです。
『グハッッ……!!』『うぐっ!?』
『うっ……!』『なんと……⁈』
短い悲鳴をあげて、吹き飛ばされるディアお母様たち!
気配からは……死んでないことは確かですが、これでまたしばらくは戦線離脱状態ですか……。
今度こそ詰んだかな?
邪魔する者がいなくなり、ことさらゆっくりと魔力を収束するエルウィナス。
喜悦に歪んだ顔は元が綺麗なだけに醜悪に見えるのです。
せめて、ルーナ様(ショタ化身)は避けてもいいのですよ?
「な〜にを言ってるのかな? ミラちゃんは。
今のこの体は化身だからね。ここでやられたとしても、本体にはなんの問題もないよ?
まあ一時的に神としての力は下がるけれどね。
それに……僕がミラちゃんを見捨てるわけが無いじゃないか!」
ルーナ様……。
プニプニ頬っぺたのお子ちゃまモードでカッコつけられても、イマイチ感動できないんですが。
「相変わらず扱いがひどいね!?」
再び放たれた呪闇の波動砲。
それと同時に、わたしとルーナ様を柔らかな光が包んだのですよ。
現れたのは、直径10メートルほどの球形の結界なのです。
それはまるで、地上に現れた銀色の満月のよう。
ほのかに暖かく優しい光が、わたしの傷口にくすぶる呪詛を解いていく……。
そして。
極太の闇の波動が、月の結界に当たっては散らされていくのですよ。
涼しい顔で結界を維持するルーナ様ですが……ほおを伝う汗を隠すことはできないようですね。
『ははは、はぁ……。まさかこれほどとはね。
ミラちゃんたちはよく頑張ったよ。今のエルウィナスの力は上位神にも匹敵するかもしれない。
亜神と眷属では太刀打ちできないのも仕方ないね。』
マジですか⁈
強い強いとは思ってたのですが、上位神、つまりはルーナ様や龍神様たちに近いレベルだと?
そんなの無理ゲーじゃないですか!
まあ、分かってて挑んだんですけどね!
『ク禍カka Aカカ!! ドウシtaゲッ神ヨ⁈
マタスクエZUニオワルカ!? アノトキノyoウニ!!』
あの時……。
わたしが前世で殺された時のことですよね。
まったく覚えていないから、分からないはずなのですけれど…………。
『……エルウィナス。
あの時と同じにはさせない、絶対に!
ミラちゃんは今度こそ僕が守る! 守りきってみせる!
もう後悔して生きるのは嫌なんだ!!』
『ナラバ、オ前KarA滅ボシTEヤロウゾ!!』
嫉妬と憎悪の混ざった醜悪な顔で、さらに深い呪詛を刻もうとするエルウィナス。
歯を食いしばり、神気を振り絞って結界を維持しようとするルーナ様。
……ああ……。
やはり、あなた様はその身を挺して守ってくださるのですね……。
そんなあなた様だからこそ、わたしもお守りしたいと思うのです。




