アルミラージ その35 チャージ!
キングに向かって右へ回りながら近づいていくのですが、魔法が飛んで来ないのです。
タイミングを測っているのですかね?
少しずつ速度を上げていくと、もう少しでこちらの間合いに入るのです。
今のわたしが全力で身体強化プラス、全速力で走ればキングの大剣より速く攻撃できると思うのですよ。
間合いに入ったら、ジェネラルにしてやった膝切りから延髄突きのコンボを決めてやろうと意気込んでいると、目の前の地面全体が赤く光るのです!
ヤバッ⁈
広範囲の地面から数え切れないほどの槍が突き出してきたのです!
即座に跳躍するのですが、そこへキングが飛び込んで大剣を横薙ぎに振るってくるのですよ!
空中では躱せないのです!
ギンッ!
なんとか体をひねり、身体強化全開で大剣を角で受けるのですが、思いっきり吹っ飛ばされたのです!
とっさに剛力、剛体も使ったおかげか、致命傷は受けずに済んだけど、勢いよく地面に叩きつけられて体中が痛いのです……。
イテテ……これ、今度こそムチウチになってるんじゃないですかね……。
と、苦痛にうめいてる場合じゃないのです!
キングが追撃しに近づいてくる!
痛みを堪えて起き上がろうとしたところで、ガクッと倒れ伏すのです。
それを見て、速度を緩めるキング。
わたしに近づき、つまらなそうに大剣を片手で振りかぶったその時!
わたしは全力で飛び起き、キングめがけてチャージ魔力撃なのです!
ひっかかったのですね!
倒れ伏したのは擬態なのです!
油断を誘ったのですよ!
狙うのはやはり足。
機動力さえ奪えば逃げる事も可能なのですよ。
脛当ての付いた右足に角を振るうのです!
硬い⁈
脛当てを切り裂き、キングの脛に当たった角なのですが、切断することはできなかったのです。
いいとこ三分の一切れたかどうか。
さっきの防御に剛力、剛体を使ったのも痛かったのですね。
今のわたしの筋力は0.9倍に落ちているのですから。
おそらくキングも身体強化と剛体を使ってダメージを抑えたと思うのですが、それでも傷はつけられたのです。
わたしの攻撃が通用しないわけではないのですよ。
フゥ〜、攻防はなんとか一進一退といったところなのですかね。
一方は全身打撲にムチウチ、もう一方は足に負傷を負っているのです。
そろそろ逃げたいところなのですが、リルを逃すためにももう少し時間を稼ぎたいところ。
今しばらく、わたしに付き合ってもらうのですよ、オークキング、オーガス!




