角うさぎ その4 これやっぱり食べなきゃいけないのですかね?
現状、魔力を持つ他者なんて居ないですし、アイテムも持っていないのです。
だから、必然的に魔力を持つ食べ物を食べるしかないのです。
つまるところ、この草原にはえている魔力草? 的なものを食べたいと思うのです。
というわけで、今はお腹が空いていないので、まずは魔力循環を試してみるのですよ。
目をつぶって、じっとして瞑想っぽくするのです。
う〜〜ん、体の中に血液とは別に何か流れてるような?
これが魔力? 的な?
自分で動かそうとしても、あんまり動かないのです。
まあ一発で分かったから文句は言わないのです。
このまま循環を続けて、だんだんと動きを速くしたり、溜めたり、外に出したりしていくのです。
ん? 角にも流れが通っているのです?
体に流れているのよりも、さらに動きが遅いけど確かに流れているのです。
これは、いわゆる魔力を武器に流して強くする技が使えるかも? しれないのです!
ちょっと試してみるのです。
近くの木に魔力を流したままの角を突き刺して………ああっ! 動いたら魔力が散ってしまったのです!
うーむ、魔力を循環したまま行動をするのは、とても集中力が必要なのです。
これは訓練していくしかないのですね。
ちょっと歩いただけで散ってしまうのでは、とても実戦では使えないですし。
ただ、最初から木の近くに行って、角に魔力を通して突き刺してみたら、あっさり根元まで刺さってしまったのです!
これがいつでも使えるようになれば、ゴブリンを一撃必殺するのも夢ではないのですよ!!
せっかくなので、必殺技には名前でも付けたいところですね! ギ⚪︎バン・ダイナミック! とか、地球剣・愛国富士山落◯し! とか、ハ⬜︎ゲン氷酢酸しぶき! とか!
一気にテンションMAX! したのはいいのですが、そのまま魔力が尽きて角が抜けなくなったのは内緒なのです………。
角を研いだ時も木から抜けなくなったのに、学習能力が無いのですか、わたしは……。
魔力が回復するまで身動き取れず、その間に人間でもゴブリンでも、見つかったら美味しく(食料的に)いただかれてしまう! と、生きた心地がしなかったのですよ!
解体されて、角うさぎの塩焼きとか、毛皮のコートになるのは嫌なのです!
さ、さてさて、魔力循環の目処がたったので、次は魔力のある食べ物、魔力草を探してみるのです。
といってもそんな草があるのかすら、わからないのですが。
しかし目算はあるのです。
それは、魔力循環して目に魔力を集中してみると、あら不思議。視界が赤外線カメラのようになったのですよ。
これはひょっとすると、いわゆる魔力視? 的なものではないかと思うのです。
この魔力視(仮)なものに切り替えて見ると、色が赤く濃い場所と青く薄い場所があるのです。
この赤く濃い色で見える草があれば、それが魔力草なのではないか、と思うのですよ。
というわけで、いそいそと草原を移動しては魔力視を使って探してみるのですが、なかなか見つからないのです。
まあ、そんなに簡単に見つかるとは思っていないので、根気良く探してみるのです。
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だいたい100メートル四方を探して、やっとこ一株、それっぽい魔力が濃い草を見つけることが出来たのですが、これやっぱり食べなきゃいけないのですかね?