神兎 その110 諦めたらそこで試合終了なのです!
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、ありがとうございます。
m(_ _)m
今期もいくつかのアニメを毎週録画予約してますが、ちゃんと見ているのは薬屋さんと葬送だけ。そして圧迫されていくハードディスク。
今は動画配信で見れるから保存してるのを消してこうかなあ。転スラとかペルソナとか。
でも、タモリ倶楽部の空耳アワードだけは絶対に消さないんだからね!
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
長い黒髪はそのままに渦を巻き。
巨大な頭部の目元は、怒りの表情を模した仮面に覆われているのです。
しかしながら、目にあたる部分は閉ざされており、視界は額から生えた本体から見ているっぽい?
そして、仮面に覆われていない口が大きく開くと……。
【—————————————!!!!】
すべてを憎み、恨み、呪う。
もし憎しみや破壊衝動を音にしたら、こんな感じになるのでは?と思わせるような、言葉にならない叫び。
人間の可聴域を明らかに越えている、ガラスをひっかくような高い音に混ざる、低周波の大音響。
……人間には聞こえなくとも、亜神のしかも角うさぎの敏感な耳にはしっかり聞こえてるんですけどね。
途中で超聴覚をカット、プラス風魔法の結界で防いだんですが、それでも耳がキーンとなってしまったのですよ。
鳥肌もたったし。特に今は神獣変化していて毛深いですからね。
全身の毛という毛が総毛立ち!しっぽもボフッとふくらんでいるのです!
そして、わたしたちに向かって吹きつける濃密な殺気。
ええい!なにはなくとも戦力査定!
神眼で鑑定!……通らない!?
亜神の鑑定を弾くとは!
確実に格上の敵なのです!分かってたことだけど!
さっきの化身は文字化けしていてもある程度は読めたのですが……なにも見えないということは、今のエルウィナスは神々に匹敵するだけの存在だということ。
もはや、堕ちた神だと侮ることはできないのですよ!
はっ⁈
そうだ、ルーナ様!どうせ見てるなら、ルーナ様の神眼で見えないですか?
緊急事態だから、ここはお願いするのです!
『…………ゴメン、ミラちゃん。僕の目をもってしても、今のエルウィナスを見通すことはできないみたい。
それはつまり、僕たちと同格だということだ。
ミラちゃん、ここは退くんだ!
これはさすがに相手が悪いよ!
力が減衰した、堕ちた神なら倒せたと思うけど、今のエルウィナスは言わば邪神や悪神とでもいうべき存在だよ。
亜神では勝ち目は薄い。撤退するのは恥じゃないよ!』
……戦略的撤退ですか。
もし、それをしたとして、エルウィナス(第二形態)はどうするのですか?
『すぐにはできないけど、神々の化身を顕現させて討伐するか…………さもなくば、神威を振るって消滅させるか、かな。』
神威は最後の最後の手段とするべきなのです。
神威を落とすならば、地上にどれほどの被害が出るか分からないんですよね?
それでは、わたしが戦った意味など無くなってしまうじゃないですか。却下ですね。
化身を顕現するとして、時間はどれだけかかるのですか?
そして、その間エルウィナスは野放しなのですか?
『化身を顕現させるには神格が大きいほど時間がかかってしまうんだ。
今のエルウィナスを討つには、最低でも戦神か龍神の化身が必要だと思う。それにはたぶん1ヶ月以上の時間がかかるだろうね。
それまでは眷属たちに足止めさせるのが精一杯かな……。』
ならば、わたしがやることは変わらないのです。
眷属たちが足止めするなら、亜神であるわたしが加勢した方が確率は高くなるはず。
それに、もし足止めができなければ、やはり地上が蹂躙されることに変わりはないのです。その被害は神威とどちらが上ですかね?
『それは……。』
まあ、わたしとしては他人が死のうが、他国が滅びようが本来なら関係ないんですけどね?
ですけれども!
いくら見ず知らずの他人とはいえ、無辜の民人が理不尽に害されるのも寝覚めが悪いし、もう他人とはいえない人たちもたくさんいるんですから!
フィリーやクリスさんたち、ガルドや村の人たちに危害が及ぶのを見過ごせるかってーの!
敵が強大なんてことは最初から分かっていたのです!
それがほんの少しだけさらに強くなっただけのこと。
撤退を勧めるくらいなら、今からでもできる支援策を考えるのです!




