アルミラージ その33 〔超時◯世紀オーガス〕
勝ち目が薄いとはいえ、闘う前から諦めるつもりはないのです。
わたしとリル、二人ならぬ二匹分の命がかかっているのですからね!
『リル! わたしのことはいいから、早く別の巣穴に逃げなさい!』
叫んで、わたしは敵がいるであろう方角に走り出すのです。
あのアースランス(仮)はわたしの索敵範囲外から攻撃してきたのです。
敵の索敵範囲はこちらよりも上。このまま遠距離戦では一方的に殺されるだけなのです。
わたしに魔力視が無かったら、そもそも初撃で終わっていたのですよ。
まずは相手が見える位置に居ることが大前提なのです。
こちらに注意を引きつけている間に、リルが逃げてくれればいいのですが……。
少し近づくと、相手の反応を察知したのです。
……大きいのです。
ジェネラルが子供に感じるくらいの威圧感なのですよ。
さらに進むとようやく目標が視界に入ってきたのです。
見た目はオークジェネラルとあまり変わらないのですが、その魔力は比べ物にならないのです。
そして、その能力はというと。
オークキング lv21 ♂
名前 オーガス
ランク B
HP 658
MP 298
STR 432
VIT 508
AGI 152
MGI 243
スキル
剛力 剛体 統率 超嗅覚 気配感知 繁殖 魔力感知 魔力操作 身体強化 魔力撃 土魔法
称号
オークの王 マンイーター 生きる災害
やっぱりキングなのでしたか。
ステータスの高さもさることながら、スキルがヤバいのです。
まず超嗅覚に気配感知、魔力感知が加わって規格外の索敵範囲になっていたのですね。
これではわたしの索敵範囲が負けるのも納得なのです。
そして、その索敵能力に土魔法を乗せて攻撃されていたわけなのです。
魔力感知や魔力視を持たない相手はほぼ一方的に瞬殺できる、反則級のコンボなのですよ。
さらに剛力、剛体に加えて身体強化に魔力撃まで持っているとか、ぶっちゃけわたしの上位互換なのですか?
勝ってるのはスピードと魔力だけなのです。
まあ魔力撃も、身体強化も『上昇率は魔力に依存する』って書いてあるので、そこはわたしの方が上だと思うのですけど。
ついでにぶ厚い鉄板のような大剣を担いでいるのです。まったく、どこの狂戦士ですか。
あんなものかすっただけで大怪我なのですよ。
魔力撃も持っているのですし。
勝ち目は薄いのですが、まったく無いわけじゃないのです。たぶん。きっと。
カギはやっぱりスピードなのです。
それでは生きるために闘うのですよ!




