間話 その37 セイリオス わたしのメイド道は始まったばかりでございます。
いつも、つたない作品をお読みくださいまして、まことにありがとうございます。
m(_ _)m
ちょっと間が空きましたが、これで妹たちの間話がコンプリートしましたね。
なんとか本編の執筆も始まりましたし、再開の目処がたちつつあります。
長らくお待たせして申し訳ありませんが、これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
「お帰りなさいませ、ご主人様。」
部屋に入ってこられたミラお姉様にお辞儀をしながらお迎えの挨拶をいたしますと、お姉様はこちらを見て動きを止められました。
「……ただいま帰ったのです。
留守中、問題はなかったですか?
というかラン、その格好はどうしたんですか?」
「ラン姉ちゃん、ただいまなのデス。
まるでメイドさんみたいな格好デスね!」
「レイもお帰りなさい。
本日はキャサリーテ様にご教示いただき、貴人に仕える侍女やメイドの所作や心得を習っていました。
この服装はお借りしたものですが、いかがでしょうか。」
そう。今、わたしは濃紺のシンプルなロングワンピースに白いエプロンをつけた、メイドの服装をしてお姉様をお迎えしたのです。
髪も邪魔にならないように結い上げてまとめています。
「うーん。夢で見たことが現実になるとは……。」
「夢……ですか?」
「前に森で日向ぼっこして昼寝した時に、リルとランが人に変化している夢を見たのですよ。そこではランはメイドっぽい格好をしていたのですけど、正夢になったのですね。」
ミラお姉様は苦笑気味にお答えしてくださいました。
「まあ、そんなことはどうでもいいのです。
よく似合っているのですよ、ラン。
とても仕事ができそうなメイドですね。」
「ありがとうございます。
学んだことを活かして、もっとミラお姉様に快適に過ごしていただけるよう努めて参ります。」
「そ、そうですか。よろしくお願いするのです。」
厳密には、人間の作法が神々の一員になるであろうミラお姉様やルーナ様にお仕えするのに必要なのかは分かりません。
ですが、学んだことはきっと無駄にはならないと思うのです。
特にキャサリーテ様の、フィルリネア様に対する忠義や敬意、時には自らの身を挺してお仕えする方をお守りするという覚悟には、わたしも感じいるところがありましたからね。
同じく心から尊敬できる主を持つ身として、共感できるといいましょうか。
この服装も着ていると身が引き締まる思いがしますね。
もっとも、メイドの服装で外出などいたしますと、人間のオスから声をかけられてしまいますが。
まったく……迷惑な話です。
こちらは練習中だというのに、無遠慮に話しかけてきては食事などに誘ってくるのです。
そのことをミラお姉様に話しますと「……それはランの容姿が人間から見て美しいから声をかけているのですよ。言ってみれば求愛行動に近いですね。」と教えてくださいました。
なるほど、と納得はしても迷惑であることに変わりはありません。
あまりにしつこい方には、歯を剥き出して威嚇したのですが、腰を抜かしてへたりこんで動けなくなっておりました。
あの程度で引き下がるくらいなら、最初から声をかけないで欲しいものです。
もとより、わたしはミラお姉様にお仕えする身。
人間のオスになど、まったく興味はありませんけれどね!
ランちゃん、ナンパ野郎に歯を剥き出して威嚇するの図。グルルルル!(`皿´)⚡︎⚡︎
見たことないレベルの美女メイドがいたので声をかけたら、すげなく断られ。しつこく食い下がると急に猛獣以上(神獣)の威嚇。ただの人間のオスが腰を抜かすのも仕方ないですよね。
でも、女性が歯を剥き出して威嚇って……、師匠が聞いたら注意されそうですね。はしたないって。(^^;




